2023年夏ベスト16進出の伝統校
3年生と2年生の融合で狙う「甲子園」
1994年に選抜初出場を成し遂げた伝統校・拓大一。あれから30年、チームは通算2度目の甲子園を目指して牙を研ぐ。
■5年ぶりのベスト16進出
拓大一は1993年秋の都大会で準々決勝・堀越、準決勝・日大三、決勝・東海大菅生に勝利して優勝を果たすと、明治神宮大会でも進撃をみせて準優勝となり、選抜出場を果たした。甲子園では初戦でPL学園と対戦し敗れたものの歴史に名を刻んでいる。30年という時間が経過したが、野球部の情熱はあのときと同じ。選手たちは頂点を目指して努力を続けている。昨夏は中大杉並、上水、西に勝利してベスト16へ進出。5回戦では日大三相手に善戦したが4対7で屈した。8強入りは逃したが5年ぶりのベスト16進出はチームに勇気をもたらした。
■「一球勝負」の場を設定し勝負強さ養う
日大三戦は6回まで1対6だったが、7回に意地で3点を奪い返して2点差に迫った。勝機がなかったわけではないが、最後は4対7で敗れた。2015年から指揮を執り今年で10年目を迎える松井貴寛監督は「三高相手に善戦したが、スコア以上の力の差を感じた。勝つのは果てしない道のりだが、チャレンジする価値があると思った」と振り返る。2024年のチームは、選手が大きく入れ替わる世代となったため冬は実戦練習や紅白戦を繰り返し、経験値を高めた。さらに「一球勝負」の場を設定して、勝負強さを養った。
■スローガンは「考動〜今しかない〜」
チームスローガンは「考動〜今しかない〜」。選手たちは限られた時間を大切にしながら自ら考えてアクションを起こしていく。今季のチームは、3年生と2年生の融合型。西方優太主将(3年=外野手)、本多将大副将(3年=内野手)、田苗悠大副将(3年=外野手)ら3年生に加えて、髙橋龍斗(2年=投手)、岡部蓮(2年=投手)、髙水啓佑(2年=捕手)、吉田晃太朗(2年=内野手)、田村逢瑠(2年=外野手)の2年生が台頭。センターラインは、2年生が形成する。冬を越えて3年生もさらに力を伸ばし、熾烈なレギュラー争いが続く。春は自分たちの力を試す場。西方主将は「試合の中で次を予測し準備することが大切。考えて行動するプレーでベスト16以上を目指す」と話す。拓大一は、この一瞬を大切にして、未来への扉を開けていく。