山の子たちが目指す「甲子園」
地域に勇気を届ける野球部
栃木と茨城の県境・芳賀郡茂木町に位置する茂木。地域の選手たちが集まるチームは「山の子魂」をスローガンに飛躍を誓う。
■甲子園出場という夢へ
地域に勇気を届ける野球部だ。「山間部の子どもたちは内向的な面があり、宇都宮など都会の選手たちに気後れしてしまって力が出せないのです」。2017年秋から母校・茂木を指揮する佐山浩行監督は、こう話す。OB指揮官は、地域の子どもたちでも戦えることを示したいと考えて、「山の子魂」というスローガンを掲げた。グラウンドには「目指せ甲子園」の横断幕もある。「甲子園出場という夢や希望をはっきりと伝えることによって意識が変わってきました」。山の子たちは、地域に支えられながら甲子園を目指す。
■都会のチームに負けないように
2016年夏にベスト4へ進出した実績を持つ。さらに2021年秋にもベスト8へ勝ち上がり、昨年春には4回戦で栃木工に競り勝って再びベスト8となった。昨夏は1回戦で真岡に0対4で屈して3年ぶりの初戦敗退となったが、チームの士気は下がっていない。夏大会後に始動した今季のチームは新3年生が14人、新2年生が7人。夏を経験した選手も多く、甲子園を目指して立ち上がった。昨秋大会は初戦・2回戦で栃木商に逆転勝利して、3回戦では作新学院への挑戦権を得た。しかし、結果は0対10の完敗。手塚大裕主将(3年=捕手)は「私学に勝たなければ甲子園にはいけない。都会のチームに負けないように元気を出して戦っていく」と話す。
■山の子たちの熱きドラマ
2024年夏を目指す茂木は手塚主将を軸に、打ち勝つ野球を目指す。打撃陣は主砲佐々木雅也(3年=外野手)、攻守の要・小池良朋(3年=内野手)が役割を果たして攻撃を活性。投手は、急成長の2年生エース髙林泰斗(2年)が度胸あるピッチングをみせる。チームはこの冬、マネージャーがカレーを作って「食トレ」を実践。パワーアップして戦いへ臨む。佐山監督は「ベスト8以上の景色をみんなで見に行きたい。茂木で過ごした時間が、次のステージへ向かう選手たちの“勲章”になってくれれば」と寄り添う。夏に照準を合わせる山の子たちのドラマはもう始まっている。