自分たちのスタイルで頂点へ
選手たちの個性が育つ“土壌”

2021年春、2022年夏にベスト8へ進出した実績を持つ前橋東。“考える野球”を追求するチームは、英知を結集して甲子園を目指す。

■切磋琢磨は高校野球の原点

選手たちが育つ“土壌”がある。前橋東は、2017年春にベスト4へ進出して周囲を驚かせると、シードエントリーとなった同年夏にもベスト8入り。2021年春、2022年夏にもトーナメントを駆け上がって8強に到達している。昨夏には3回線で桐生第一と対戦して、3回までに3点ビハインドだったが、4回に3点を奪って同点に追いつくなど、決死の戦いをみせてゲーム終盤まで互角の戦いを演じた。9回に3点を奪われて5対10での敗戦だったが、その戦いぶりには大きな拍手が送られた。中学時代の実績がほとんどない選手たちだが、前橋東入学からの2年半で選手は心技体で大きく成長。最終学年で結果をつかみ取っていく。そこには高校野球の原点がある。

■武器である思考力を伸ばす

チームを指揮するのは、前橋高校時代の2002年に捕手として選抜甲子園に出場した小暮直哉監督だ。大学卒業後に前橋工監督となり、指揮官として2010年の選抜出場を果たした。現役、監督時代に甲子園出場を果たした公立指導者となる。前橋東が掲げるのは「思考自走野球」。選手たちが自分たちで考えて自らの力で行動していくことを目指す。練習は、実践のための訓練となる。昨季までオフシーズンにフィジカル強化をしていたが、今季は実戦形式を増やして思考力を強化したという。小暮監督は「前橋東の生徒たちの武器は、考える力。思考力を伸ばすことがチームにとって一番効率的だと考えた」と話す。チームは、思考力と自走力で勝負していく。

■予測・準備を徹底した思考自走野球

今年のチームは、ミーティングの内容が濃くなっているという。山口龍之介主将(3年=内野手)を軸に選手ミーティングを実施。日々の練習や試合を振り返り、課題を持ち寄り、改善していく。指揮官は「こちらが伝える前に、選手たちが気付いてくれている。野球IQが高く、大人のチームに成長してくれている」と手応えを隠さない。ゲームはサウスポーエース小林拓斗(3年)を中心に守備からリズムを作り、打線の援護を待つ。打線は1・3番の桺岡脩雅(3年=外野手)、4番の兼松直太郎(3年=外野手)が勝負強さを発揮する。山口主将は「予測・準備を徹底した思考自走野球でリズムを作って勝ち上がっていきたい」と夏に焦点を合わせる。「思考自走野球」をスローガンとするチームは、“前東スタイル”で頂点を目指す。

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