2012年西東京大会ベスト4の都立名門
選手の成長の先にある勝利を求めて

西東京を舞台に、力強い戦いをみせる都立伝統校・片倉。夏に向けて士気を高める野武士軍団は、選手の個性をチームに組み込む戦いで頂点を目指していく。

■2012年夏ベスト4、2018年夏ベスト8

グラウンドには選手たちの威勢の良い掛け声が飛び交い、チームには活気があふれていた。片倉は2012年の西東京大会でベスト4へ進出した。準決勝では佼成学園と戦い、6回までに0対7とビハインドになったものの終盤に決死の反撃をみせて4点を奪い取り、食らいついた。決勝へ進出することはできなかったが、闘志みなぎる戦いにはスタンドから大きな拍手が送られた。2018年夏には、国学院久我山、日野に勝利してベスト8へ勝ち上がると、準々決勝で日大三と激闘を演じた。5回に一挙5点を奪ってリードしたものの結果的には6対8で惜敗となった。片倉の選手たちは、世代は変われども目標は不変。夢の続きを追って練習に励む。

■ベテラン指揮官の教え

チームを指揮するのは、宮本秀樹監督だ。東大和、府中工などを経て2009年秋から片倉監督を務めている。野球の技術や戦略を伝えるのはもちろん、選手には自身の考える「人としての成長」を求めている。宮本監督は、東大和時代にかつての都立のレジェンド指揮官で「甲子園の心を求めて」の著者でもある佐藤道輔監督(故)と共に指導にあたり、その後も目標とすべき高校野球を追求した。教員としての定年を迎えて部活動指導員として指導する立場になっても、生徒とともに成長するという考え方は同じ。成長の先にある勝利を求めて日々のグラウンドに立っている。宮本監督は「高校野球の原点とは何かを追い続け、私自身も粘り強く戦っていく」と金星を狙う。手の成長の先にある勝利を求めて日々のグラウンドに立っている。宮本監督は「都立野球は高校野球の原点。粘り強く戦っていく」と金星を狙う。

■夏開幕に照準を合わせるチーム

2018年夏にベスト8へ進出した片倉だが、コロナ禍による練習環境の変化や野球人口減少などによって難しい時間を迎えている。2021年以降の西東京大会の最高位は3回戦。2022年は桜美林、2023年には創価という私学実力校との対戦となったのも影響して、神宮球場(ベスト8以上)へたどり着くことができていない。今季のチームは秋大会1回戦で修徳に敗れ、春3回戦では錦城に屈してベスト32で大会を終えた。チームの軸となるのは、走攻守三拍子揃ったキーマン上野晴斗(3年=外野手)とキャッチャーの小倉貫太(3年)。2年生エース橋口海丈も安定感が増している。春には実力ある1年生を加えて競争が激化、夏へ向かうチームには刺激が加わっている。片衛蓮主将(3年=内野手)は「今年の片倉はチームワークと打撃力が武器。一丸となった戦いで勝ち上がっていく」と夏開幕に照準を合わせる。片倉の熱き戦いが始まろうとしている。

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