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着々と地力を蓄え2年連続で夏2勝
秋季予選敗退も巻き返しを図り成長中
秋季はチーム不調により地区予選敗退となった川崎北。巻き返しを誓い、トレーニングに励んでいる。(取材・松井裕一)
■2年連続夏2勝
「伝説の試合」として県内で語り継がれている1990年夏の準々決勝。川崎北の河原純一投手(元巨人ほか)と厚木の川村丈夫投手(元横浜)による、後にともにドラフト1位指名を受ける県内屈指の公立校投手の投げ合いは、延長16回の死闘となった。3対1で制した川崎北が、現在も最高成績の4強に進出した。
輝かしい歴史を受け継ぐ川崎北。2024年夏の大会の開会式では、佃陵汰主将が堂々と選手宣誓をした。3年生全員で考えた全文には「一生懸命が一番かっこいい」というチームのモットーも採り入れた。試合は川崎工科に3対1、大井に13対2で勝利、3回戦でシード校の市ケ尾に0対7で敗れたものの、前年に続き夏2勝を挙げた。
■秋は不調も選手層は十分
新チームは夏初戦で完投勝利を挙げた投打の柱・枦田陽太(2年)、強打の好捕手・山田悠月(2年)らが中心も、複数選手のケガもあり、秋は地区予選で敗退。「チームが本調子ではなかったのですが、私の力不足です」と川村太志監督は振り返る。2019年4月から指揮を執る川村監督。着任の年は入部者が6人(選手4人)。そこからチーム強化のために選手集めから奔走し、着実に勝利を積み上げてきた。
現チームは球速140キロを超えた枦田、身体能力の高い齋藤大地(2年)、制球力抜群の松原陸(2年)と楽しみな投手が揃う。攻撃陣はチーム屈指の好打者・明戸琉生斗(1年)が1番、3番・枦田、対応力の高い4番・山田、5番には努力家・清水颯真(1年)が座り、得点力アップを図る。
■目標は16強進出
山口慶悟主将(2年=内野手)は来夏の目標を「16強進出」と掲げる。夏は練習試合で甲子園準優勝経験校の新潟・日本文理に大敗した。しかし「得たものは大きい」と山口主将。「強いチームは挨拶や礼儀、整理整頓もしっかりしていた。自分たちはそれ以上にやらないと絶対に勝てない」と思い知った。練習への姿勢なども含め、意識や取り組みから変えていく覚悟だ。川村監督は部員たちに「歴代で一番伸びた代になろう」と伝え、冬を迎えた。幾多の“一生懸命”は結実する。偉大な先輩に負けない、新たな伝説が作られる。
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