2021、2023年は決勝進出も一歩及ばず
甲子園への強い気持ちと勝負強さで頂点へ

秋はベスト4入りしたものの、その先の試合では惜敗。勝ちきれない状況を打破するべく、普段から緊張感を高め、集中している。「甲子園で勝つ」という目標に向かいチーム一丸となった戦いが始まる。(取材・栗山司)

■プレッシャーに強いチームへ

今年の東海大静岡翔洋は「甲子園で勝つ」ことを目標に練習を積み重ねてきた。東海大浦安時代に全国準優勝の経験を持つ森下倫明監督は力を込める。「甲子園に出たいという気持ちだけでは勝てない。甲子園に行って勝つんだ。そういうチームになるんだと、自分たちで考えてほしいと思っています」
 2021年、2023年ともに夏の県大会で決勝に進出したが、あと一歩のところで涙を飲んだ。現3年生には中等部時代に全国準優勝を経験したメンバーが7人いる。下級生時から公式戦を経験している選手も多く、戦える準備は整った。
 昨秋の県大会では優勝候補の日大三島を準々決勝で破りベスト4進出。しかし準決勝、3位決定戦ともに僅差で敗れた。あと一本が出ない攻撃、逆に相手にチャンスをものにされる展開。冬から春にかけては、その悔しさをバネに「プレッシャーの場面で力を発揮する」ことをテーマに取り組んできた。主将の川島孝太(3年=捕手)は語る。「練習から緊張感を持って取り組むようにしてきました。春の大会が終わって、ようやくチームに浸透してきました」
 打撃練習一つをとっても雰囲気は変わった。「その1球が試合を分ける」という意識で、集中力を研ぎ澄ませている。

■チームを支える学生コーチ

今年の東海大静岡翔洋には選手以外にも頼れる存在がいる。森下監督が「チームを支えてくれた大切な存在」と話す3年生の学生コーチたちだ。
 渡邊拓斗は高校1年冬にヒジを故障し、そこから学生コーチに転向。選手のためにノックを打ち続けた。2年秋から学生コーチとなった岸田凌は「練習をより良くしたい」と他部活を参考にしてトレーニングメニューを考案。腰の故障に苦しんできた神永光惺も下級生の練習をサポートしてきた。3人は口を揃える。「ベンチ入りメンバーを信じています。実力はあるので、冬に頑張ってきた成果を発揮して、1戦必勝で戦ってほしいです」

■チャレンジャー精神で挑む

投手陣はエースの小松原健志(3年)を中心に粘り強く投げ、捕手の川島は強肩と俊敏性に加え、投手が投げやすいように細かい配慮を凝らす。攻撃陣はトップバッターの伊藤龍榮(3年=中堅手)から下位までムラがなく、どこからでも得点できるのが強みだ。「自分たちは大事なところで負けることが多かったので、チャレンジャー精神を忘れずに、常にやってやるぞという気持ちで練習してきました」と川島。迎える集大成の夏、タテジマ軍団が大暴れする。

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