
2023年夏・秋ベスト32進出で「上昇気流」
昨秋も地区予選3連勝突破し県大会1勝
過去5年で確かな実績を残している伊志田。仲間と共に野球を本気で楽しみながら夏ベスト16(5回戦)を目指していく。
■勝負強い戦いで4回戦へ進出
伊勢原市石田に位置する「伊志田(いしだ)」。学校創立時に伊勢原と石田の両地名を入れる案が出ていたときに、文献に「伊志太」の表記が残っていることが判明。伊勢原と石田の真ん中に「志」を入れて「伊志田」の校名となったという。学校体育館にも「志」の文字が書かれたモチーフがあり、学園祭も「宿志祭」と呼ばれるなど、生徒たちは高い「志」を持って学校生活を送る。
伊勢原市は野球が盛んな地域で周辺地域には向上などの強豪があるが、伊志田も勝負強い戦いをみせてきた。2019年夏4回戦では相洋と1対4の好勝負を演じ、2020年夏の独自大会4回戦でも慶應義塾相手に3対4と健闘した。地域の選手たちが集まるチームは2023年夏4回戦で向上と対戦し0対7で敗れたが、両校の選手たちに大きな拍手が送られた。
■野球マニア指揮官がヒント提案
伊志田のグラウンドでは、選手たちが情熱高く練習に励んでいる。2023年秋から指揮を執るのは、28歳の若き指揮官・渡邉亮監督だ。秦野で2年生時には4回戦へ進出。成蹊大に進学し硬式野球を続けて理科教員となると、非常勤を経て神奈川県教員に正採用。2022年に伊志田に着任し、2023年秋に監督となった。学生時代から数々の高校野球名勝負を観戦してきた「野球マニア」。選手たちには、甲子園や神奈川大会の名勝負や、大谷翔平が活躍したMLBのポストシーズン動画、強豪校の練習方法などを紹介しながら野球の魅力を伝えている。高校野球指導に携われることに喜びを感じている渡邉監督は「僕自身が、野球が大好きなので気に入った動画を送っている。生徒たちはそれらをヒントにして自主的に野球に取り組んでほしい」と選手たちをサポートする。
■一体感を武器にベスト16へ
指揮官が生徒たちに送る動画には、神奈川県立が私学を倒す「ジャイアントキリング」のゲームもある。2019年夏準々決勝で相模原が横浜に勝利した試合は「最高の教科書」という。熊澤翔太(2年=捕手)は「いろんな動画から刺激をもらっている。自分たちも私学強豪を倒していきたい」と話す。遠藤千隼主将(2年=外野手)は「自分たちは部員全員の一体感が武器。全員の力を合わせてベスト16を狙う」とバットを振る。昨夏1回戦・横浜緑ケ丘戦では2対5の劣勢から終盤でひっくり返して6対5のサヨナラ勝利、「逆転の伊志田」と呼ばれた。選手たちは夢の続きを追って球春を待つ。年始には恒例の大山登山を実施して、必勝を誓う。伊志田は、ジャイアントキリングを狙って2025シーズンに挑む。