1・2年生計10人での再出発
2015年春ベスト4の文武両道チーム
2015年春にベスト4へ進出した実績を持つ太田東。2021年秋からは、前桐生南の石井洋之監督が就任し再出発を図っている。
■文武両道の気鋭進学校
文武両道進学校・太田東は、2015年春にベスト4へ進出 した。準々決勝で前橋商を撃破するなど上州高校野球界を盛り上げた。その後、たびたび4回戦へ進出するなど力を誇示してきた。2020年夏の独自大会では2回戦で桐生市商に勝利し3回戦へ進出。3回戦では健大高崎に屈したが、自分たちのスタイルを表現してみせた。2020年秋からの3大会はコロナ禍の影響などもあり、いずれも初戦敗退となった。
今春からは前桐生南の石井洋之教諭が着任し顧問となっていたが、今秋からは監督として指揮を執ることになった。再起を懸ける太田東にとっては新たなスタートとなる。
■4大会ぶりの公式戦初戦突破
石井監督は桐生南時代の 2012年夏にベスト4、2017年春夏、2020年夏などにベスト8の結果を残した実績を持つ。投手育成にも定評があり、これまでも多くの好投手を育て上げてきた。昨年度末に桐生南が桐生西と合併し桐生清桜となったことなどから今春に異動となり、新天地へやってきた。
今秋の新チーム始動時の部員数は2年生2人、1年生8人の計10人。指揮官は、チーム始動時に選手たちに「どんなチームになりたいか?」と問うた。選手からは『応援されるチーム』という答えが返ってきた。そのためには何をすべきか。選手たちは自らで、学校生活、礼儀、あいさつなどを見直し、再出発を図った。試合ギリギリの人数でのリスタートだったが、選手と共に大会へ臨み、東毛リーグでは2勝し、秋大会では4大会ぶりの公式戦初戦突破を果たした。
■部員10人で1人9役「全員野球」
チームには、新たな芽が出始めている。2年生は、髙木光主将(2年=外野手)と主砲・坂野誠奎副将(2年=捕手)のふたり。坂野副将が「『応援されるチーム』になるためは、一人ひとりが応援される選手にならなければいけない。僕たちがチームを引っ張っていく」と自覚すれば、髙木主将は「人数は少ないが、多くの練習ができるので前向きに考えている。チーム全員で協力しながら良いチームに成長させていきたい」と話す。10人で戦うには、一人が多くのポジションを守る必要もある。練習では、全員が全ポジションを経験し、ユーティリティー性を磨く。実戦練習では石井監督自らがランナーとなり、駆け引きを教え込む。そこには、選手と共に勝利を目指す高校野球指導の原点があった。
意志あるところに道あり。太田東が、再びトーナメントを駆け上がる日はそう遠くない。