リニア駅の新設準備で2019年に学校移転
新グラウンドと新築校舎の環境でチーム強化
相模原市の橋本エリアの伝統専門高校・相原がチーム改革の新たなスタートを切っている。2019年の学校移転に伴い、練習環境が充実。部員不足のハンディをアドバンテージに変えて勝利を目指す。
■伝統のタスキを次世代へ
大正12年(1923年)に農蚕学校として開校した相原。相原農蚕から昭和29年(1954年)に相原高校に改称。現在は畜産科学科、食品科学科、環境緑地科、総合ビジネス科がある。創立以来、JR橋本駅前に位置したが、リニア中央新幹線・神奈川県駅(仮称)の建設準備により、橋本駅から西へ約2キロの場所へ移転。洗練されたデザインの新校舎と実習施設、広大なグラウンドが整備された。
野球部は昨今、部員不足に直面しているが、夏の神奈川大会には毎年単独チームでエントリー。伝統のタスキを次世代へつないでいる。新グラウンド整備によって県大会の会場校に選出されるなど、その環境が評価されている。現在の部員数は1・2年生合わせて8人。チームは夏大会後に、連合チームを結成したが、夏の単独出場、そして飛躍を目指して一致団結している。
■2020年夏は12年ぶりの勝利
選手とともにチーム改革の旗を振るのは、元橋本高監督の那須野恭昂監督。海老名高から横浜国大へ進み、大学時代から母校・海老名高で学生コーチを務めて、教員採用後に橋本高を指揮した。2020年春に相原に着任し家庭科教諭として生徒を指導する傍、野球部強化に尽力している。単独チームでの過去15年間の県大会勝利は2008年夏の北神奈川大会と、2020年夏の神奈川大会の勝利の「2勝」のみ。那須野監督はコロナ禍の独自大会で、12年ぶりの勝利を収めたことになる。
那須野監督は「現在、人数は少ないが選手たちは地道に頑張っている。だからこそ勝利の喜びを教えてあげたい」と選手に寄り添う。2021年春には、ユニフォームデザインを漢字からローマ字にするなど、新たな歴史を築くべく、歩みを進めている。
■連合から単独チームへ
現在の部員は2年生2人、1年生4人、マネージャー2人の計8人。センスあふれるショートストッパーの梅津悠斗主将(2年)を軸にトレーニングに励む。もう一人の2年生・田中駿瑛(外野手)は高校入学から野球を始めたが、努力によって主力の一人となっている。チーム6人中3人が左利きというユニークな一面もあり、サウスポーエース重原然、同じくサウスポーの佐藤光希ら選手のポテンシャルは高い。1年生大型スラッガー・鈴木海生(内野手)は、秋の東京都大会で優勝した国学院久我山のメンバー・鈴木航生(2年)の弟。2021年秋は、相原中心の連合チームを組み、予選に挑んだが1勝2敗で惜しくも予選突破を果たせなかった。
秋の悔しさを糧にする選手たちは、夏の単独出場を視野に入れて、強化を進めている。梅津主将は「連合チームで学んだことを単独チームにつなげることで勝利をつかみたい。自分たちの代で結果を残したい」とグラウンドへ向かう。 橋本駅周辺はリニア駅開設で大きな変化を遂げることが予想されるが、相原野球部も変革の波に乗って進化を遂げる。
↑2021夏大会メンバー