春6回夏4回の甲子園出場を誇る名門
秋予選敗退の悔しさを春・夏へぶつける
桜美林は、春6回夏4回の甲子園出場を誇り、1976年には夏甲子園初出場で初優勝を成し遂げた。力を蓄える名門は今夏、2002年以来20年ぶりの甲子園を目指す。
■2009年秋以来の秋予選敗退
秋はチームが持てる力を発揮できないまま、わずか1試合で終わってしまった。一次予選初戦の相手は目黒日大だったが、5対6でサヨナラ負け。2009年秋以来の予選敗退となった紺野翔大主将(2年=外野手)は「負けたときは言葉が出なかった。1週間くらい落ち込んだ」と思い起こす。コロナ禍で準備期間がない中での公式戦だったが、敗戦という結果は受け止めなければならない。今季のチームは、スケールの大きさが魅力だった。しかし、チームとして形を作るのに時間が足りなかった。自分たちの弱さを認識して再起動を図ったチームは11月の練習試合で強豪と互角以上の戦いをみせるなど急激な進化を遂げたという。年末のフリー打撃では、各打者が鋭い打球を飛ばしていた。
片桐幸宏監督は「秋予選からメンバーはまったく変わった。多くの選手が伸びていて、春以降、だれがスタメンに入るかは予想できない」と手応えを感じている。
■チームの潜在能力は都屈指
今季の桜美林は、2年生20人、1年生26人の計46人。2年生はコロナ禍での入学となったがオンラインミーティングなどを駆使して、各自が努力を続けた。学校がオンライン授業のときは、夕方に専用グラウンドに集まり、バットを振った。
困難を乗り越えてきた仲間だけに結束は強い。チームをまとめるのは、俊足好守の紺野主将と、強肩強打の捕手・佐々木大吾副将(2年)。佐々木副将は「秋予選の時とはまったく別のチームになっている」と話す。投手陣は、最速135キロ右腕・鳥越駿太郎(2年)を軸に、安定感ある糸谷春樹(2年)、左腕・外山稜太郎(2年)、187センチの大型右腕・佐野優平(2年)らタイプの違うピッチャーが揃う。野手は熾烈なレギュラー争いの真っ只中だが、規格外の打球を放つ吉崎修也(外野手)、大型ショートストッパー松村健吾の1年生スラッガーコンビは春・夏の注目プレーヤーになるだろう。チームの潜在能力は都屈指だ。
■努力を尽くした上で希望を持つ
桜美林高には、「詮方(せんかた)尽くれども、望みを失わず」という桜美林学園創立の精神が引き継がれている。どんな困難に遭遇しても希望を持って生きていくという意味で、片桐監督も大事にしている言葉だ。片桐監督は「大事なのは、努力を尽くした上で希望を持つということ。ベストを尽くさずにチャンスを待つだけでは意味がない。最大限の努力をすることが大切です」と話す。現役時代に全国制覇の経験を持つ指揮官の指導を受ける選手たちは、詮方(せんかた)を尽くした上で結果をつかみ取る。伸び盛りの選手たちがレギュラー奪取を目指してしのぎを削るチームは、例年以上のスケールの大きさがある。
紺野主将は「戦力と強さは違うと思う。春までに精神的な強さを身につけて、チームとして妥協せず頂点を目指す」と意気込む。桜美林の誇りを胸にグラウンドに立つ選手たちは、甲子園という望みに向かって突き進む。