2021年秋、28年ぶりのベスト4
熱い気持ちで2度目の甲子園へ
浜松西が2021年秋に28年ぶりのベスト4へ進出した。「常熱」をスローガンに掲げるチームは2度目の甲子園へ突き進む。(取材・栗山司)
■壁を破った秋
浜松西は昨年秋、28年ぶりのベスト4入りを果たした。県大会3回戦で静岡商を2対1で下すと、準々決勝(対沼津東)は延長13回の激闘を制した。「この準々決勝が一つの大きな壁だった。乗り越えたことで選手も私も自信になったことは確かです」。チームを率いる佐藤光監督がしみじみと語る。2019年春、秋ともに準々決勝で敗退した。あと一歩先へ。1981年以来の甲子園出場に向けて階段を一つ昇った。準決勝と3位決定戦で敗れて東海大会出場は叶わなかったが、「彼らが決めている目標は甲子園1勝。そこに向かって一緒に全力で取り組んでいきたい」と指揮官は話す。
■選手主体型のチーム
佐藤監督が就任し、今年で8年目。選手が主体的に考えて動くスタイルが浸透している。
基本的な日々の練習メニューは主将の伊藤聡汰(2年=内野手)が中心となって選手たちで作っている。 「練習メニューは自分たちで決めています。一番大切なことはそのメニューをどういう意識で取り組むかです。全員が本質を理解して、どれだけ突き詰めてやれるかが大事になってくると思います」 この冬のテーマはフィジカルの強化。選手からの提案で、練習の終わりに行っていたウエイトトレーニングをメニューの最初に持ってくることを決めた。体が元気なうちに鍛えることで効果を出したいという狙いがある。
また、休日の練習開始を従来の8時30分から10時に変更。「睡眠時間を確保するために、練習開始を遅くすることにしました。この時期に体重が増えなかったら絶対に増えないので、やれることは全部やっていきたい」と伊藤は思い切って判断した理由を説明する。
一方でグラウンドはサッカー部と陸上部との共用となるため工夫が求められる。通常は各ポジション別に分かれて練習。例えば、内野陣がノックする際は、外野手はバットスイング、投手は走り込みで鍛える。無駄なく、効率的な練習でレベルを上げていく。
■熱い気持ちを持つ
チームのスローガンは「常熱」。新チームが結成された際に決まった。「どんなときも熱く」という意味が込められている。「夏は甲子園に行って勝ちたい。そのためにこの冬はどんなにきついメニューも本当にこだわって熱くやっています」(伊藤主将)
練習では一つのミスに対して選手間で厳しい声が飛び交う。主将の伊藤の言葉通り、「こだわり」がヒシヒシと伝わってくる。全ては甲子園で1勝するために。熱い気持ちを胸に秘めて春に向かう。