準決勝敗退も未知なるポテンシャル
2008年以来の夏甲子園へ戦力充実
桐生第一が春季関東地区高校野球大会群馬県予選準決勝で前橋育英と対戦し、7対11で敗れた。決勝進出は果たせなかったが、チームは未知なるポテンシャルを秘める。投打のバランスが整うチームは、2008年以来の夏甲子園を目指す。
■1999年夏の甲子園で全国制覇
1999年夏の甲子園で群馬県勢初の全国制覇を成し遂げた名門だ。近年では2014、2016年の選抜大会に出場。2020年は選抜出場権を得たが、コロナ禍で大会中止となり交流戦のみの出場となった。夏の甲子園は、2008年を最後に遠ざかっているが、チームは確実に甲子園に近づいている。昨年の秋季県大会では準々決勝で前橋育英を1対8で撃破し、準決勝では前橋商に勝利。決勝戦では健大高崎に12対7で競り勝ち関東大会へ。選抜当確まであと一歩となったが準々決勝で浦和学院に敗れて夢の舞台へはたどり着けなかった。このチームに残された甲子園のチャンスは、夏のみ。必然的に気持ちは高まる。
■夏の課題は投手陣の整備
2022年のチームは、7選手が昨夏のレギュラーとしてプレーした世代。投手陣は、左腕・寺門京佑、最速145キロの本格派右腕・北村流音が軸。打線は、攻撃的な2番打者の役割を担う三塚琉生主将、主砲・提箸優雅が鋭い打球を飛ばす。春季県大会では3回戦で伊勢崎清明に4対3、準々決勝・高崎では5対3と接戦をモノにして準決勝・前橋育英戦へ。2回に5失点したことが響いて、ゲーム自体が難しくなったが、それ以降は互角の戦い。結果は7対11での敗戦だったが、手応えはつかんだ。夏に向けて、投手陣の再整備が進めば深紅の優勝旗が見えてくる。
■桐生第一のゴジラ覚醒
春季県大会はベスト4で終えたものの、主砲・三塚主将の打撃は迫力が増した。千葉県から桐生第一の門を叩き、1年秋から主軸として試合に出場して経験を重ねた。最終学年となった今冬は体重を6キロ増やして88キロに。飛距離は大きく伸びた。準々決勝・高崎戦では7回に相手を突き放すソロアーチを放つと、準決勝・前橋育英では、多くのプロ野球スカウト陣が見守る中で初回にライトスタンドへ2ランを打ち込んでみせた。高校通算22本の大砲の周囲は、にわかに騒がしくなってくるのは間違いない。ドラフト候補の三塚主将は「夏には同じ負けはしない。甲子園に出場して自分の力を試したい」と力を込める。桐生第一のゴジラが、夏のキーマンとなる。