最強世代が迎える「最後の夏」
秋・春ベスト8からの王座奪還へ
昨夏の西東京大会を制覇した東海大菅生。前チームからのレギュラーが多く残る今年のチームは、夏連覇へ向けて闘志を燃やす。
■実質の夏3連覇が懸かる大会
全国屈指の「経験値」を備える集団だ。福原聖矢主将(3年=捕手)は1年生の夏からレギュラーとしてプレー。鈴木悠平(3年=外野手)、小池祐吏(3年=内野手)、鈴木泰成(3年=投手)たちも甲子園を経験。最終学年となった今季のチームには大きな期待が懸かっていた。しかし、昨秋都大会、今春都大会ともに準々決勝で日大三に惜敗してベスト8。選手たちは、くやしさを噛み締めながら夏へ準備を進めてきた。チームは2020年夏の独自西東京大会で優勝、2021年夏の西東京大会も制覇。今夏は実質の夏3連覇が懸かる大会となる。福原主将は「先輩たちが勝ち続けてきた中で、自分たちの結果は情けない。最後の夏にすべてを懸けて戦っていく」と、西東京大会へ向かう。
■連覇へのラストピース
夏の好材料は、エース鈴木泰の完全復活だ。最速148キロをマークする本格派右腕で、2021年春の選抜でも好投。今年のチームの絶対エースとしての活躍が見込まれたが、右ひじ負傷によって昨秋は1度のみの登板。今春はメンバーから外れていた。夏の動向に注目が集まる中で5月からマウンドに戻ると、練習試合でも全国強豪相手に好投をみせて「エース復活」をアピールした。鈴木泰は「秋、春はチームの力になれなかったので、夏は自分の力でチームを勝利に導きたい。ピッチャー全員で勝ちにいく」と気持ちを込める。鈴木泰不在の秋、春には、2年生豪腕・日當直喜が成長するなど投手層は厚くなっている。士気上がるチームは、西東京屈指の戦力を武器に、夏の覇権を奪いにいく。
■ベンチ入りメンバーの最後の枠
東海大菅生は例年、ベンチ入りメンバーの最後の枠をBチーム3年生の投票で決定しているという。昨秋、今春にメンバー入りしていた石山柚(3年=外野手)は秋以降、結果を残すことができずに悩んでいた。そして6月中旬、サポート役に徹することをコーチに相談した。若林弘泰監督はBチーム3年生の投票を実施後、石山と面談。控え選手によって推薦されたことを伝えて、「控え選手のためにやれ!」と激励したという。石山は「メンバーに入れないことを覚悟していたので、チームの力になれればと思った。若林監督、仲間に、夏の結果で恩返ししたい」と夏の出番を待つ。夏への準備を進めるチームは、エース鈴木泰の復活、控え選手投票によって、連覇へのラストピースが埋まったことになる。最強世代が迎える「最後の夏」。選手たちは、固い絆を武器に連覇を目指す。