常葉大菊川「最強」
役者が揃い、気持ちを一つに頂点奪取 秋の大ブレークからいざ5年ぶりの聖地へ 静岡の秋季大会は常葉大菊川の優勝で幕を閉じた。チームは新型コロナに翻弄された夏を取り返すべく、一戦一戦成長を見せた。(取材・栗山司)
■1年生左腕・久保の成長
9回二死、相手打者をセカンドフライに打ち取ると、1年生左腕は左手で力強くガッツポーズを作って喜びを表現した。 久保綾哉(1年)は背番号10ながらエース級の活躍を見せた。 今大会初先発となったのが準々決勝の静岡戦。強力打線相手に7回を無失点に抑え、コールド勝ちに貢献した。さらに準決勝、決勝も先発で好投し、今大会4試合22イニングを無失点の成績を収めた。バランスのいいフォームからキレのあるストレートをコーナーに投げ分け、相手に的を絞らせない。西部大会中には体重移動でタメを作るフォームを身につけ、「今まではフォアボールが多かったが、初球からストライクが取れるようになった」と、制球面の安定が飛躍につながった。
■プロ注目の鈴木が攻守で躍動
その久保を支えたのが捕手の鈴木叶(2年)。石岡諒哉監督は「叶が成長してくれたことが大きかった」と話す。準決勝では2安打3打点と4番打者として実力を発揮。決勝戦でも5回に左翼フェンス直撃の二塁打で先制の足がかりを作った。また守備面では「1年生がピッチャーなので思い切り投げさせた」と久保の良さを引き出すと、強肩を生かして次々と走者を刺して球場を沸かせた。
■甲子園で勝つことが目標
夏の大会は優勝候補に挙げられながらも、新型コロナウイルスの影響で主力メンバーを欠いて4回戦で敗退。8月上旬の新チームスタート時、石岡監督は「3年生の分までお前らがやってほしい」と鼓舞した。 しかし、西部大会は勝ち上がったものの、思うような試合運びができなかった。新主将に就任した平出奏翔(2年=外野手)は「最初は全く上手くいかなかった」と振り返る。 ターニングポイントとなったのは県大会の3回戦。夏に敗れた静清相手に17対2(5回コールド)で圧勝した。「やってやろうという気持ちが全員にあった」と平出。チームが一つにまとまり、続く静岡との大一番もコールド勝ちを飾った。 試合を重ねるごとに強さを増していった常葉大菊川。目指すのは2018年夏以来となる聖地。「3年生の分も、甲子園に出て勝つことが目標です」(平出主将) 蘇ったピンストライプ軍団。東海大会も一気に頂点まで駆け上がる。