春夏通算12度の甲子園出場
心技体を鍛え上げて球春へ
春夏通算12度の甲子園出場を誇る伝統強豪校・文星芸大附。OB指揮官のもと復活を期すチームは2007年以来の甲子園を目指す。
■高根澤監督、就任5年目のシーズン
いつでも甲子園に手が届く場所にはつけている。OBの高根澤力監督が就任した2018年秋以降の11大会で準優勝が3度、ベスト4が3度、ベスト8が4度。さらに2019年秋、2021年秋に関東大会へ出場、選抜切符も近づいていた。安定した成績を残していると言える。しかし、春夏通算12度の甲子園出場の名門にとっては決して満足できる結果ではない。文星芸大附が目指すのは甲子園のみ。11大会中、作新学院に敗れたのは4度、佐野日大に3度。ライバルの壁を突き破って聖地までの道を切り開くことが求められている。高根澤監督は「2023年は就任5年目のシーズン。勝つのは簡単ではないが、粘り強く戦うことでチャンスをつかめると思う」と2007年以来の甲子園を視野に入れる。
■冬に自信をつけて春夏に頂点へ
2023年のチームは、入江陽主将(2年=内野手)がチームを牽引し、声でもムードを盛り上げていく。投手陣は、最速137キロの右腕エース工藤逞(2年)、実力をめきめきと伸ばす左腕澁谷優希(2年)が軸となる。女房役を務めるのは、強肩強打の黒﨑翔太(2年=捕手)。守備は、ショートストッパー大塚和央(2年)を要として我慢強いディフェンスを目指す。攻撃は、3番の曽我雄斗(2年=内野手)、4番の小林優太(2年=内野手)が中軸を担い、勝負強い打撃をみせる。主砲・小林は「チャンスで一本を放つことで4番の役割を果たしたい」と力を込める。秋県大会は、初戦となった2回戦で小山南を13対3で撃破、3回戦では宇都宮南を9対2で下して、準々決勝・作新学院戦へ。序盤は互角の展開だったが、自分たちでリズムを崩して4回に4失点するなど突き放されてしまった。曽我は「作新戦では相手の“名前”に負けて力を発揮することができなかった。冬に自信をつけて春夏に栃木の頂点に立つ」と球春を待つ。
■ライバルに勝つために情熱を注ぐ
2022年の2・3年生たちが掲げたスローガンは「情勝(じょうしょう)」。常勝の「常」を「情」に変えて、熱い気持ちをチームに注入する。甲子園に到達できるかどうかは、わずかの差。「感情」「情熱」「情念」…ライバルに勝つためには、さらなる「情」が必要になる。入江主将は「秋大会で作新と対戦して負けてしまったがライバルチームとの力の差はないと感じている。勝利への強い気持ちや一体感が大切。情熱を持って野球に取り組んで、先輩たちの分まで戦い抜きたい」と話す。今年のチームは、突き抜けた選手はいないが、投打のバランスが整い、全員でレベルアップしていけるのが強みだ。冬には各選手が個人の課題に向き合い、心技体を鍛え上げていく。壁を打ち破るには、一人ではなく全員の力が必要。部員全員の情熱が、新たな歴史を切り開く。