6年ぶりに秋予選を突破し県大会出場
未知なる可能性秘める県立ダークホース
金井が2022年の秋季地区予選を6年ぶりに突破し県大会出場を果たした。ポテンシャルを秘める県立ダークホースは、選手と監督が力を合わせて再建を進めていく。
■過去2年間、練習場なしの活動
2022年4月に山﨑滋彦監督が着任したとき、グラウンドには雑草が生い茂っていた。金井の練習場は、学校敷地から幹線道路を一本挟んだ企業敷地「住友電工グラウンド」。選手たちは平日、このグラウンドで練習を積んできたが、コロナ禍によって2020年春から閉鎖になっていた。チームは練習場がない中でも活動を続けて大会へ臨んでいた。それでもチームは踏ん張った。昨夏は1回戦で公立実力校・厚木北と対戦。6回で3対7と劣勢だったが7回に一挙6点を奪って9対7と逆転。金星かと思われたがゲーム終盤に再逆転されて9対10で惜敗となった。
■夏大会後は草むしりからスタート
夏大会後、グラウンドの使用が再開された。指揮官と新チームの選手たちは、草むしりからスタート。グラウンドを整備する一方で新チームを作り上げていった。大阪府出身で高校野球指導をするために神奈川県教員となった山﨑監督は、大楠、高浜でチーム再建を果たした実績を持つ。大楠では17年ぶりの夏勝利を果たし、高浜時代の2017年には部員を集めて3年ぶりの単独出場を果たした。2022年に金井へやってきた指揮官は「過去の学校の生徒たちよりも、レベルがかなり高いと思った。(強豪相手に)勝負できるかもしれない」と感じたという。過去2年間は、練習環境が整っていなかったため、チーム戦術や規律もまとまっていなかったが、一つひとつを整理することによってチームは変わっていった。
■成長が楽しみな選手たち
チームの軸は、抜群の制球力と投球術を備える1年生エース廣瀬優希。公立強豪校にいてもおかしくない逸材で、伸び代は大きい。さらに身長180センチのスラッガー・原田悠生(2年=捕手)が4番に座る。投打の軸が確立されたチームは、秋予選で桜丘、磯子工、横浜緑ヶ丘に3連勝して6年ぶりに予選を突破し県大会出場を果たした。1回戦で星槎国際湘南と対戦し、エース廣瀬の好投によって6回まで0対1。主砲・原田は、あわやホームランの打球を放ってみせた。ゲームは終盤に地力の差をみせられて0対7の8回コールドとなったが、春・夏への確かな自信をつかみ取った。加藤真悟主将(2年=外野手)は「強豪相手にもしっかりと戦えることがわかった。秋の手応えを夏へつなげていきたい」と成長を誓う。山﨑監督は「ここには野球が好きな選手が集まっている。4月からの約10カ月で選手はどんどんうまくなっている。勝利の喜びを知ることで選手はもっと成長できるはず」と選手のやる気を伸ばす。2023年、金井が神奈川のダークホースになるかもしれない。