2023年秋、7年ぶりに都大会進出
「明日も野球がしたい!」と思えるチームへ
都立伝統校・武蔵丘がじわじわと実力を蓄えている。昨夏の東東京大会では4回戦へ進出、昨秋は7年ぶりに都大会進出を果たした。チームは「全力投球」「思いやり」を大切にして練習に励む。
■秋予選でジャイアントキリング
武蔵丘が存在感を高めている。昨夏の東東京大会では荒川工科、自由ヶ丘学園に勝利して4回戦で城東と対戦した。城東優勢の下馬評だったが、左腕・小川瑠悟(2年)、奥山柚希(3年)の継投によって0対1で8回までゲームを進める接戦を演じた。9回表に3点を奪われて結果的には0対4で屈したが、その戦いぶりは高く評価された。さらに昨秋の都大会1次予選決勝で東亜学園と対戦。昨夏準優勝の私学強豪に対して全員野球で臨むと、左腕・小川の好投などによって2対1で勝利。同予選で最大のジャイアントキリングを達成して7年ぶりの都大会出場を決めた。勢いに乗ったチームは1回戦で淵江に勝利して、その力を体現してみせた。
■選手の「やる気」を止めない
1941年に東京府立第二十一中学校として開校、その後、武蔵丘となった。1946年の第1回の国民体育大会では軟式野球部が優勝する快挙を成し遂げている。2022年秋からチームを率いるのは、鈴木秀志監督だ。立教大卒業後に一般企業に就職したが、野球指導に魅力を感じて教員へ転職。練馬、八潮(軟式)を指導して現在は武蔵丘の指揮を執る。八潮時代は、野球好きな選手を集めて都大会ベスト8へ進出するなどの経験を持つ。指揮官が大切にするのは「全力投球」と「思いやり」。鈴木監督は「私自身が指導するというよりも、選手たちの戦いぶりから感動をもらっている。自分の役割は、練習を押し付けるのではなく、選手の「やる気」を止めないこと。明日もまたみんなで練習したいと思えるようなチームにしたい」と語る。
■最強のダークホースへ
鈴木監督就任後、練習ユニホームのロゴを書道の大江静芳教諭に依頼し、新たな書体でトレーニングへ挑む。指導陣は、扇原進責任教師、石塚亜美顧問、杉山朱美顧問が選手たちの成長を見守る。現在チームは2年生5人、1年生9人。それでも強豪校を倒すまでのチームになった。チームの軸は、清水泰史主将(2年=内野手)、投打の力を誇るエース小川、大城卓馬(2年)ら。「モビリティーベースボール」をスローガンに、一気呵成で得点を狙う。士気上がるチームは夏、秋の結果に満足せずに、高みを目指す。清水主将は「人数は少ないが、チームワークと野球に向き合う姿勢はどこにも負けない。全員野球で勝ち上がっていきたい」と闘志をみせる。2024年、武蔵丘が最強のダークホースとなる。