2016年から2021年まで群馬大会5連覇
3年ぶりの夏甲子園へ「全身全霊」

2016年から2021年まで群馬大会5連覇(2020年は大会中止)を果たした前橋育英。2年連続で夏甲子園から遠ざかるチームは、3年ぶりの「王座奪還」を目指す。

■「凡事徹底」を部訓とするチーム

群馬の覇権を取り戻すための戦いだ。前橋育英は2013年夏に、2年生エース髙橋光成(西武)を擁して夏甲子園初出場で全国制覇の快挙を成し遂げた。「凡事徹底」を部訓とするチームは、エースを軸にした緻密なディフェンスで失点を抑えて、チャンスで果敢に攻めていくスタイルを構築。2016〜2021年にかけては群馬大会で無敵の5連覇を成し遂げた。特筆すべきは、健大高崎キラーとなっていたこと。2016〜2018年、そして2021年は決勝で健大高崎に勝利して甲子園切符をつかみ取った。しかし2022年夏には準々決勝で樹徳に屈し、昨夏には準決勝で前橋商に敗れて、甲子園への道が閉ざされた。

■頂点へ“返り咲き”を目指す

昨秋の準決勝・健大高崎戦では、序盤まで互角の勝負だったが、中盤以降に突き放されて4対11で敗戦。関東大会出場を健大高崎に譲ると、相手は関東ベスト4で選抜へ出場。そして全国制覇を成し遂げている。再起をかけた春大会は、選抜帰りの健大高崎戦を意識した面も否めずに、準々決勝で高崎商大附に6対8で敗れる結果となった。前橋育英らしさが体現できず無念の敗戦となった。2022年まで盤石の強さをみせたチームだが、2022年春を最後に決勝進出を果たすことができていない。今季の選手たちは、スローガンを「懸努頂頼(けんどちょうらい)」に設定。「捲土重来」の造語だが、懸命に努力し仲間を信頼することで頂点へ返り咲くことを目指す。

■狙うは「王座奪還」のみ

今年のチームは、今成昂汰主将(3年=内野手)を中心に団結している。秋、春に結果をつかめなかったが、夏大会を前に投打の歯車が噛み合い始めている。投手陣は、左腕エース黒岩大翔(3年)の状態が上がり、夏大会直前には県外強豪を力で抑えるなど準備は整った。打撃陣は、高校通算29本塁打の早川大惺(3年=外野手)らが鋭いスイングをみせている。狙うは「王座奪還」のみ。今成主将は「今年は、健大高崎を倒さなければ甲子園にいけないと思うが、健大高崎を意識するのではなく自分たちの野球を貫くだけ」と決戦へ向かう。「凡事徹底」を追求した先に3年ぶりの甲子園が待っている。

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