2025年夏【甲子園PLAYBACK】横浜 準々決勝で県岐阜商に延長タイブレーク惜敗。絶対エース奥村頼人が見せた準々決勝での涙の意味は?
甲子園準々決勝・横浜

横浜
「真のエース」

絶対エース奥村頼人が見せた準々決勝での涙
準々決勝で県岐阜商に延長タイブレーク惜敗

 春夏連覇を狙った横浜が、第107回高校野球選手権準々決勝で県岐阜商と対戦し、延長11回タイブレーク激闘の末に7対8で惜敗した。最後のマウンドに立っていたのはエース奥村頼人だった。

■5回途中からエース奥村がマウンドへ


 準々決勝・県岐阜商の先発は、2年生の織田翔希だった。

織田は1回戦・敦賀気比に続いて3回戦・津田学園戦でも完封勝利。3回戦は106球の内容だったため、中1日で準々決勝の先発を任された。だがボールが走らず4回途中2失点で降板し2番手の山脇悠陽へ。

山脇が5回に強打・県岐阜商打線に捕まると、5回一死から背番号1奥村がマウンドに上がった。

奥村は心技体を備えた投打の二刀流で、4番レフトで先発しマウンドに立つ「サウスポー絶対エース」。球質、投球術、マウンド度胸を備えた世代随一のプレーヤー。だが選抜決勝、神奈川大会決勝での優勝の瞬間にはマウンドに立っていない。村田浩明監督は彼の成長を促すため試練を与えてきた。


■背番号1の最後の夏は涙で終演


 最後の夏。奥村は窮地でマウンドに立つと、5回のピンチを最小限で凌いでリズムを変えた。横浜は6回に3点を奪うと、8回に4対4の同点とした。

両軍の激闘は9回で決着せず延長タイブレークへ。横浜は10回に3点を奪って勝利が近づいたかに見えた。しかし同裏に奥村がまさかの3失点。7対7で延長11回へ突入した。横浜は11回表が拙攻となり無得点。その裏に奥村がピンチを招くと、サヨナラ安打を打たれて力尽きた。

「最後の夏は、自分が優勝のマウンドに立っていたい」(奥村)という願望は儚くも消えた。背番号1の最後の夏は、胴上げ投手としてではなく準々決勝で終わりを告げた。

指揮官は最後まで交代の意志を見せなかった。そこにはエースへの「絶対的な信頼」、そして「エースと運命を共にする覚悟」が見えた。最後のマウンドは涙で終わったが、横浜のエースはまさしく奥村だった。

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