2020年群馬県高校野球大会準決勝 (8月8日=桐生球場)
健大高崎 0 0 0 4 1 2 2 2 0 11
前橋育英 0 1 3 0 0 0 0 1 4 9
最終回にみせた執念の反撃。
仲間とともに努力した日々
前橋育英の夏が終わった。
準決勝でライバル健大高崎に敗れて、“夏5連覇”の夢が途絶えた。
最終回の執念の反撃、そして試合後の涙は、選手たちの本気の証だった。
2020年9月号掲載
■ 健大高崎との因縁の対決
準決勝は、宿敵・健大高崎との対戦となった。
近年の群馬高校野球での覇権を争ってきた両雄。
昨秋大会は、準決勝で対戦し、前橋育英が5対0で勝利。
両チームともに地元群馬開催の関東大会へ進出。
前橋育英が初戦で習志野に敗れたのに対して、健大高崎は関東大会で進撃をみせて優勝、その後の明治神宮大会でも準優勝を果たし、選抜切符を確実とした。
荒井直樹監督は「健大さんは選抜へ向けて成長していく。うちは、それ以上に努力しなければいけない」と、選手とともに巻き返しを誓った。
しかし、コロナ感染拡大によって選抜、春大会は中止。
高校野球の時間は止まった。
そして、この夏、前橋育英は再び健大高崎と対峙した。
■ 序盤のリード守れずに苦戦
序盤は、前橋育英がリードする展開だった。
2回、細野力輝百(3年)のホームランで先制すると、3回には皆川岳飛(2年)、諸田空也(3年)のタイムリーなどで3点を奪い、4対0と点差を広げる。
健大キラーぶりをみせつける展開となったが、そこからは劣勢となっていく。
4回、ミスから長短打を浴びて4失点し同点とされると、5回以降も相手の勢いを止められずに失点を重ねていく。
8回にも2失点を喫して、4対11。
このまま得点が取れなければ、屈辱のコールド負け。
夏4連覇中の前橋育英は、崖っぷちまで追い詰められた。
■ 無情のゲームセット
しかし、8回裏、執念で1点をもぎ取り、5対11で9回へ。
最終回無死1・2塁から須永武志主将(3年)の安打でチャンスを広げると、諸田のセカンド後方に落ちる内野安打でまず1点を返す。
さらに2点加えたあと野村慶(2年)の3塁打で、この回4点目を奪う。
2死3塁で、同点まであと2点。
例年の夏であれば、スタンドの大応援団が選手たちの背中を後押しするはずだが、今夏は応援自粛の無観客試合(保護者のみ)。
静寂のスタンドは、じっと奇跡の逆転劇を願う。
しかし、最後の打者が打ち取られて、無情のゲームセット。
試合終了後、選手たちは肩を寄せ合い、泣きじゃくった。
グラウンドで流した大粒の涙は、選手たちの本気の証だった。
前橋育英は、この夏の敗戦を糧にして、また強くなれる。