復権の戦い、ベスト8で止まる
2メートル投打二刀流・秋広の夏の終焉
2年ぶりの夏の頂点を目指した二松学舎大附が準々決勝で大森学園に敗れた。
身長2メートル投打の二刀流・秋広優人の夏が終わった。
2020年9月号掲載
■2017、2018年夏の覇者
2017、2018年夏の東東京を制して甲子園出場を決めた二松学舎大附。
昨夏は初戦(3回戦)で修徳にまさかの敗戦。
昨秋都大会では1回戦で、明大中野八王子に屈した。
2大会連続で不覚を喫したチームは、春都大会での仕切り直し、そして夏の甲子園に照準を合わせていた。
だが、コロナ感染拡大によって春都大会、さらに甲子園大会が中止となった。
二松学舎大附がリベンジを果たす場所は、夏の独自大会のみとなった。
チームの軸は、身長2メートルの投打二刀流・秋広優人。
チームは、エースで4番の秋広を軸に大会へ臨むと、文京、東京成徳大高、城北、上野学園を下して準々決勝・大森学園戦を迎えた。
■7回に打者一巡猛攻で追撃
大森学園戦の先発は、エース秋広。秋広は角度あるボールで1、2回をしっかりと抑えていく。
しかし、2巡目に入った3回に上位打線に連打を浴びて2失点、4回の先頭打者にヒットを許した時点でマウンドを降りた。
ゲームは1対6とリードされて、7回裏の攻撃へ。
下位から上位へつなぐと門脇司の適時打、秋広の2点タイムリーなど打者一巡の猛攻で一挙4点を奪い、1点差に詰め寄る。
追撃を試みるチームは最終回2死2塁で、秋広の打順となったが、大森学園は勝負を避けて四球で1塁を埋めた。
続く山田将義が打ち取られて、今年の夏にピリオドが打たれた。
■涙のラストミーティング
試合後、取材の順番をスタンドで待っていた秋広は、遠くを見つめながら一人泣いていた。
注目を浴びた中での「最後の夏」、思うような結果を残せなかった二刀流は何を想っていたのだろうか。
その涙は、自分のためではなく、仲間のためのものだったように思う。
取材を終えて、スタンド外で行われていたラストミーティングに遅れて加わった秋広は、仲間の声を聞いて、涙腺を再び緩ませた。
今秋のドラフト候補だが、まだ未完成のため評価は難しい。
しかし、ポテンシャルは無限だ。
そして、立ち居振る舞いや雰囲気は、大きなスター性を感じさせた。
秋広は「二松学舎では、人間的に成長することができた。
まだプロに行けるレベルではないのは自分が一番わかっている。
これからさらに努力を続けていって、将来はプロの世界でプレーしたい」と未来を見据える。
身長2メートルの大型プレーヤーの夏は準々決勝で終わったが、彼のドラマはこの先も続いていく。