一致団結で12年ぶりベスト4進出
館林の奪三振マシーン1年生右腕・宮村
館林が準々決勝で高崎北を破って準決勝へ進出、関東切符を懸けた戦いでは健大高崎に屈したが、ベスト4という結果を残した。
大きな可能性を秘めたチームは、この経験を糧に来春・夏へ進んでいく。
2020年11月号掲載
■OB指揮官と選手たちの挑戦
OB指揮官と選手たちが、ついに壁を破った。
館林は2014年秋からOBの細堀和弘監督が就任した。
細堀監督は、大学卒業後に一度一般企業に就職したのち教員となった異色指揮官。
民間経験を踏まえた人間的教育と選手の自主性を育む指導法で、チーム強化を図っている。
文武両道の野球部には地元館林をはじめ足利、佐野などから選手が集結。
2018、2019年秋には2年連続でベスト8へ進出。
だが、その次の壁を破ることができなかった。
秋に強さをみせるチームは、今秋も進撃をみせた。
1年生右腕・宮村一輝が力強いピッチングをみせて、前橋東、安中総合、桐生の公立実力校を撃破。
準々決勝では高崎北を6対3で下して12年ぶりのベスト4進出を決めた。
宮村は準々決勝までの4試合33イニングで28奪三振をマークした。
■準決勝で敗戦も確かな手応え
準決勝・健大高崎戦は、結果的に3対12のスコアで7回コールドとなったが、それぞれの場面では拮抗していた。
ただ要所で耐えきれなかったことが複数失点を招いてしまった。
初回の攻撃では2死2塁で4番稲村竜暉の中前安打で、2塁走者の小野知広がホームを突いたが間一髪でアウト。1回裏の守備では、健大高崎の先頭打者を四球で歩かせると盗塁を決められてリズムが崩れた。
盗塁はアウトのタイミングだっただけに不運な面もあった。
4回には1点を奪ったあと尚もチャンスがあったが追加点を奪えなかった。
その裏に7失点し、流れが決まってしまった。
細堀監督は「戦えていないわけではなかったが、相手のバッティングが素晴らしく、勝負所で耐えられなかった。ただ、大舞台で健大高崎さんと戦えたことは大きな財産になる」と話した。
進撃はベスト4で止まったが、館林の意地は十分にみせた。
■来年度は創立100周年
チームは、篠原聖矢主将を軸に、今成新汰、稲村らクリーンアップが打線を支える。
1番の周藤快気、2番小野は走力も備え、それぞれの特長がかみ合えば、さらなる化学変化を起こす可能性がある。
秋大会で一段高い場所へ登ったチームは、新たな視界を糧にさらなる進化を遂げるだろう。
1年生エースの宮村は「強いチームと戦うことができて自分の足りない部分がわかった。もっと体を強くして、強気なピッチングができるようにしたい」と打倒私学を誓った。
館林は今年創立99年目で、来年度は100周年を迎える。
今秋、大きな経験を積んだチームは冬を越えて、さらにたくましくなっていく。