【日大二 野球部】「打開」#日大二

芽生える自覚

自慢の打力で東京を沸かせる

文武両道の伝統を貫く日大二。

高い意識と自慢の打線に磨きをかけ、21世紀枠推薦校に選ばれた前チームからのさらなる飛躍を目指す。

2020年12月号掲載

(取材・三和直樹)

■鍛錬の1か月

慌ただしくも、充実した夏を終えた。

東京都の代替大会準々決勝で東海大菅生の前に敗北したのが8月3日。

その翌日から新チームをスタートさせ、秋季大会のブロック予選初戦が9月13日。

その間、コロナ禍の影響で恒例の夏合宿が中止となり、遠征試合も相次いでキャンセル。

全体練習の時間も例年よりも短くなったが、「その分、集中して行うことができていたし、個人練習もそれぞれが自覚を持って取り組んでいた。夏の1か月で肉体的に見違えた選手が多い」と田中吉樹監督。

近隣校を中心に声をかけ、1日2試合で秋季大会までに計30試合以上、例年と同等の実戦数を確保した中でチームを鍛え続けた。

「このチームは、みんな真面目。サボる奴がいない。グラウンド整備から練習の準備、片付けという部分もしっかりと取り組めている。これはいい傾向。コロナの影響で時間が制約された部分はあるけど、それによって時間の使い方という部分に関しては今まで以上に高い意識を持つことができている」。

2004年からチームを指揮する田中監督は「まだまだ手探り」と言いながらも、秋が深まったグラウンドを前に「いい方向に向かっている」と笑みを浮かべる。

■自慢の打力と課題の投手

新チームの特徴は「打力」にある。

練習試合では2ケタ得点を重ね、特に1番・杉山大知(2年)から2番・宮本寛人(2年)、3番・岩田侑真(2年)、4番・藤井道万(2年)と続く上位打線が強力で、「この4人が完璧に抑え込まれた試合はなかった。常に取られても取り返す。10点取られても11点取る。2死からでも連打で大量得点を奪える打線」と田中監督。

主将の湯江蒼(2年)も「自分たちはとにかく打つチーム。どんなに点差を付けられても逆転できる」と自信を見せる。

その一方で投手力が課題。

扇の要となる捕手には、前チームから唯一のレギュラーでチーム内での信頼の高い岩田がいるが、今夏まで4番兼エースだった折笠利矩が引退したことで軸となる投手が不在となり、「点は取るけど、その分、点も取られる」という乱戦続き。

1年生左腕の小林誠明を中心に、佐藤匠(2年)、平岡孝基(2年)、大野駿介(1年)の4人が今後、どこまで成長できるかが上位進出への鍵になる。

■「まだまだこれから」

迎えた秋季大会では、一次予選を8対1、11対2で順当に勝ち抜いて本大会出場。

「打ち勝つ野球はできる。あとは守備のミスを減らして失点は少なくしたい」と岩田。

10月20日に行われた1回戦では、目白研心に対して12対10というスコア。

現チームが抱える強みと弱みが顕著に出た形となったが、続く25日の2回戦は早大学院を相手に9対3の勝利。

内容的にも進歩した試合運びを見せた。

スポーツ推薦がない中、勉強も部活動も「どちらも100%」がモットー。

徹底した肉体強化で土台を作り、入学後に大きく成長する選手が多いのが日大二の特徴だ。

田中監督は「まだまだこれから。投手陣を中心としたセンターラインを強化したい。秋、春と経験を積むことができれば、夏は頂点を狙えるチームになれるはずです」と力を込める。

現状を打開し、さらなる高みへ。

大きな可能性と成長の手応えを感じながら、日大二ナインが新たな戦いに向かう。

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