過去3度東東京ベスト4の実力校
悲願の初甲子園へ一致団結
東東京大会で過去に3度、ベスト4に進出した実績を持つ伝統校・東京実業。近年では2013年夏に準決勝に進出した。個性派プレーヤーが集う今年のチームには大きな可能性が秘められている。
■自主性と規律の融合
東京実業は、2013年夏の東東京大会にベスト4、2015年夏、2017年春にベスト8へ進出するなど確かな存在感を示している。
2017年春には世田谷学園、佼成学園、2019年夏には東亜学園を撃破するなど「大物食い」ぶりを発揮している。都内で何度も金星を挙げるには、地力がなければなし得ない。その結果が、チームの底力を示している。
チームは多摩川のグラウンドで努力を続けながら、悲願の甲子園初出場へ向けて力を蓄えている。彼らのグラウンドには規律の中に、活気があふれている。チームを率いて40年になる山下秀徳監督は「昔の生徒からは優しすぎると言われます。時代の移り変わりによって指導は変わっていますが、野球のルールが変わっていない以上、譲れない部分は当然残さなければいけない」と話す。選手の自主性とチーム規律を融合させながら、チーム強化を図っている。
■巨漢スラッガーがチームの軸
練習中、ひと際大きな声でチームを鼓舞しているのは、183センチ98キロのスラッガー十鳥真乙主将(2年=外野手・投手)だ。中学時代は、名門・東練馬シニアでプレーし、ジャイアンツカップ準優勝。自身が心技体で成長できる環境として東京実業を選び、1年生からクリーンアップに座っている。新チームからはキャプテンとしてチームを盛り上げる。豪快なスイングから放たれる打球は、規格外。ポジションは外野手だが、チャレンジ精神旺盛で投手、内野も挑戦し、プレーの幅を広げる。十鳥主将は「この学年は、仲の良さが一番の武器。入学したときから『甲子園出場』『全国制覇』を目標にみんなで練習をしてきました。最後の夏に結果を残して、東京実業の学校名を全国に広めたいと思います」と野心を秘める。チームは、十鳥という大黒柱を前面に戦っていく。
■投打充実、期待の世代
コロナ禍の昨夏は、東東京大会初戦で小山台と対戦し序盤の7失点が響いて4対7で敗れた。
140キロ超のエース佐藤翔を擁したチームだったが、限られた練習時間で力を発揮できずに無念の敗退となった。先輩たちの想いを背負う新チームは十鳥主将、神谷翔吾副将(2年=捕手)、飯田聡(2年=内野手)が軸。投手陣は加藤優征(2年)、高梨裕大(2年)、阿部剛(2年)が中心、打撃は主将、副将のほか濱中翔(2年=外野手)、大田颯(2年=内野手)が鋭い打撃をみせる。
秋季大会一次予選で、日大一を6対4、明学東村山を4対2で下して都大会出場を決めた。本戦1回戦は明大中野八王子と対戦し、1対8で敗れた。神谷副将は「予選では自分たちの野球ができましたが、本戦では守備が不安定になり力を発揮することができませんでした」と振り返る。チームは都大会の課題を持ち帰り、再びグラウンドで鍛錬を積んでいる。十鳥主将は「この冬に力をつけて、打ち勝つ野球で甲子園へ行く」と頂点を目指す。東京実業は、自慢の打撃でトーナメントを駆け上がる。