2015年以来の夏甲子園へ
2020、2021年春に選抜出場
2020、2021年春に選抜出場を決めた健大高崎。2年連続で秋季関東大会を制するなど全国レベルの力を蓄えるが、夏は2015年以来甲子園に届いていない。夏の勝利にすべてを懸ける。
■打撃破壊は進化の過程
2014、2015年に「機動破壊」で一世風靡した健大高崎。2014年夏には甲子園4試合で26盗塁を決めるなど強烈なインパクトを残している。しかし、チームは甲子園で全国強豪と戦うことによってさらなる進化を遂げている。健大高崎の最終目標は「日本一」。全国制覇を成し遂げるためには何が必要か。ゴールから逆算することで、新たな戦い方が見えてきた。青栁博文監督は「機動力だけでは日本一に届かないと感じています。機動力は攻撃の一つ。まずは打てなければ勝ち上がれない」と、打撃力アップに力を注いできた。決して機動力を捨てたわけではない。機動力を維持した上で、打撃へシフトしている。昨秋の関東大会では圧倒的な打力を武器に2連覇を達成。関東優勝校として2021年の選抜へ乗り込んだ。
■高まる夏への結束
今春の選抜では1回戦で下関国際(山口)に6対2で勝利し2回戦へ。ちなみに健大高崎は、過去8度(2020年春はコロナ禍で中止)の甲子園トーナメントですべて初戦勝利、初戦敗退がない。2回戦では、プロ注目投手・達孝太擁する天理(奈良)となった。193センチの大型右腕に対して自慢の打撃で真っ向勝負したが、最速148キロのストレートとフォークを捉えられずに0対4で完封負け。再起をかけて臨んだ今春の県大会では準々決勝で農大二に0対1で敗れてしまった。青栁監督の参謀を務める生方啓介部長は「打撃で勝負にいった中で、それ以外の策を用意できていなかった。そこは自分たちコーチ陣の責任だった」と敗戦を受け止めた。健大高崎は、選手、コーチングスタッフが選抜、春大会の敗戦を受け止めて、初心に戻って夏への結束を高めている。春の「2敗」がチームを変えた。
■6年ぶりの夏へ意識変化
2015年以来、4度目の夏を狙う健大高崎は、投打の戦力が充実している。投手陣は、エース今仲泰一(3年)が万全の状態、さらに髙松将斗(3年)、野中駿哉(3年)も球威を伸ばす。チームは、タイプの違う投手の継投で上州のトーナメントへ挑む。打撃は1〜9番のどこからでも本塁打が飛び出す玉手箱。主力通算230本塁打の超強力打線が火を噴けば、6年ぶりの夏が見えてくる。チームは春の農大二の敗戦を糧に意識が変わった。綱川真之佑主将(3年=捕手)は「春大会で負けてチームの雰囲気が下がった。チームのために、お互いが言い合うことでチームは変わってきた。応援してくれている方々への感謝を結果で示したいと思います」と夏へ向かう。相手は、自分たち自身。己に打ち克つことが甲子園への道だ。
(2021年8月号掲載)