「2020年夏 大会レポート 東亜学園」8回裏の攻防  #東亜学園

阿部、尾関、鈴木隆を軸にベスト4進出

準決勝で帝京の奇策スクイズに屈する

3対2のスコアで迎えた8回裏、帝京は奇策を仕掛けてきた。

東亜学園は、勝利を目前にしながらも相手の執念に屈した。

チームはこの敗戦を力に、進化していく。

2020年9月号掲載

■帝京相手に3対2で5回を折り返す

準決勝の相手は、帝京だった。

昨夏の東東京大会では屈辱の初戦敗退、あの悔しさを糧に這い上がってきたチームは、コロナ禍の大会で、頂点が見える場所までたどり着いた。

東亜学園の先発・左腕・鈴木隆之介はしなやかなフォームからキレのあるボールを投げ込み、ゲームを作っていく。

鈴木隆の背番号は14。夏大会直前に力を伸ばして、主戦に成り上がった。

3回こそ四球からリズムを崩して2失点したが、粘りのピッチングを披露した。

東亜学園は、4回に帝京のパスボールで1点を返すと、5回には1死2・3塁の場面で、阿部敬太主将の2点タイムリーで逆転に成功、3対2と1点リードで中盤を折り返す。

6回には阿部が大飛球をキャッチするファインプレーでチームは勢いづいた。

■運命の8回、相手スクイズで混乱

ゲームのポイントは8回裏の帝京の攻撃だった。

左腕・鈴木隆が1死満塁のピンチを迎えた。

帝京は、9番投手の打席で代打・小山勝己を送る。

2ボールからの3球目がファールになると、そのスイングをみた帝京・前田三夫監督が、代打の代打・菊池祐汰を送り込んできた。

2ボール1ストライクからの奇策に、どよめくスタンド。

何が起きるのか。次のボールで、帝京はスクイズを決行し、同点に。

さらに一塁送球が逸れて、逆転を許してしまった。

東亜学園・武田朝彦監督は「あの場面はスクイズだと思った。でも指示が送れなかった。(帝京の)前田監督から『外せるか』と、試されているような気がした。監督の力の差です」と話した。帝京に、あの場面でスクイズを選択させたのは東亜学園の強さか。

「動かなければ点が入らないと思った」(前田監督)。

東亜学園は、前田監督の執念に負けたのかもしれない。

■異例の夏、3年生の努力に感謝

東亜学園は8回に4点を奪われて、3対6とリードを許した。

選手たちは、持てる力を発揮していた。

悔いがあるとすれば、5回に逆転したあと、上位打線で追加点が奪えなかったことか。

最終回も、粘りの攻撃をみせたが、帝京の継投策の前に得点を奪うことができず、2020年の夏は、ここで終わった。

攻守でチームを牽引した阿部主将は「甲子園大会が中止になったが、代替大会で自分たちの力のすべてをみせたかった。勝てる試合だったので悔しい」と敗戦を受け止めた。

武田監督は「短い準備期間の中で、選手たちは最後まで戦ってくれた。異例の夏になったが、3年生の努力に感謝したい」と労った。

この夏の甲子園大会は中止になったが、東亜学園の戦いに先には未来の甲子園がはっきりと見えていた。

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