藤沢翔陵
「“和力”でベスト4」
35年ぶりのベスト4 ノーシードから躍進 藤沢翔陵が、前身の藤沢商時代以来、35年ぶりのベスト4進出を果たした。ノーシードからの戦いとなったが、戦国神奈川でその志を貫いてみせた。(撮影・武山智史)
■接戦を勝ち抜きベスト4へ
雑草の魂を宿すチームが接戦を勝ち抜き、ベスト4までたどり着いた。スローガンは「和力」。ノーシードで大会へ挑んだ藤沢翔陵は1回戦で法政二と対戦。エース橘海斗の好投とバックの固い守りによって1対0で完封勝利。3回戦では春2回戦で敗れた湘南学院に2対0でリベンジ。5回戦では相洋相手に終盤のラッシュによって9対5で競り勝ち準々決勝へ駒を進めた。準々決勝の相手は、県6大会連続優勝中で、選抜大会優勝の絶対王者・東海大相模。真っ向勝負すべく士気を高めたが、コロナ禍の大会は何が起きるか分からない。試合当日に東海大相模が部員の新型コロナウイルス感染によって出場を辞退。藤沢翔陵は不戦勝で準決勝進出となった。指揮官と選手は、同じ神奈川を戦うチームとして、心を痛めながらその報告を受け止めた。
■次世代へつながる快進撃
チームは気持ちを切り替えて準決勝・横浜戦へ臨んだ。川俣浩明監督は「これまで対戦してきた相手の気持ちを背負って戦っていこう」と選手に伝えていた。緊張がなかったと言えば嘘になる。大舞台で横浜と対峙した選手たちは、自分たちの野球ができなかった。初回に5失点、2回にも3失点を喫してしまう。3回からはゲームが落ち着いたが、8点ビハインドはあまりに大きなハンディとなった。4回には、福富大地の三塁打から1点を返したが、1対9の7回コールドで終戦となった。川俣監督は「このチームがここまで来られるとは思っていなかった。選手たちは、私たち指導者の思い以上に頑張ってくれた。下級生たちは、先輩たちの思いを受け継いでほしい」と、3年生たちに感謝し、次世代の選手へメッセージを送った。
(2021年9月号掲載)