2018年春以来の甲子園へ戦力十分
コロナ禍を見越して練習プランニング
春夏通算5度の甲子園出場を誇る国学院栃木。伸びしろ十分のチームは夏の甲子園出場を視野にギアを上げていく。
■今この瞬間を大切に
国学院栃木はコロナ禍によって1月下旬から3月上旬まで活動を休止、3月第2週から練習を再開した。3月11日の練習開始前、柄目直人監督は選手たちに向かって、語りかけた。この日は、東日本大震災から11年目。指揮官は「今から11年前の“今日”、大震災が起こった。東北では津波によって多くの命が失われ、君たちと同じ高校生も命を落とした。あの災害を忘れてはいけない。震災の爪痕がまだ残っている中で、野球ができることに感謝しなければいけない。コロナ禍で練習が制限されているが、今この瞬間を大切にしよう」と伝えた。選手たちは、真剣な眼差しで指導者の話を受け止めると、それぞれがグラウンドに散っていった。選手たちはグラウンド外の学びも、力に変えていく。
■ポテンシャルは全国屈指
投打のポテンシャルは全国レベルだ。秋季県大会は最速143キロの1年生エース盛永智也(現2年)と、身長186センチ、最速140キロの大型右腕・中川眞乃介(現3年)が交互に先発マウンドへ立ち、ベスト8進出を決めた。頂点が見えてきた中で、準々決勝・高根沢戦はリズムが作れなかった。0対5とリードされる展開から追撃をみせたが、3対5で敗れる結果となった。秋ベスト8となったチームだが、エース盛永、主砲・長田悠也(現2年=内野手)はいずれも1年生。レギュラーの多くを下級生が占める若いチームで、そのほか吉原稜人(3年=外野手)、武田歩大(3年=捕手)の上級生たちも力を蓄える。春以降のレギュラー争いは一層激しさを増す。捕手・武田は「個人の力で戦うのではなく、チームとして勝つことが大切だ」と練習に励む。
■逆風を追い風にして
今年のチームスローガンは「捲土重来〜革命の国栃〜」。国学院栃木は2018年春の選抜大会に出場し旋風を起こしたが、以降はコロナ禍も影響して甲子園切符をつかむことができていない。今冬もコロナ禍で練習休止期間が長かったが、チームはこの状況を予測して昨秋大会以降に「チームビルド」を前倒しで実行。コロナ禍の休止期間に「バルクアップ(フィジカル強化)」を課してリスクを抑えた。柄目監督は「コロナ禍は、もはや非日常ではなく日常。練習休止を見越してプランニングすれば効率良く練習を積むことができる」と語る。平井悠馬主将(3年=内野手)は「常識に捉われない野球で革命を起こしていく。栃木大会は作新学院が10連覇中だが、今夏は自分たちが優勝して、国栃10連覇の始まりにしたい」と力を込める。時は来た。国学院栃木は、コロナ禍の逆風を追い風にして聖地を目指す。