【文京 野球部】  「集大成」  #文京

仲間たちのために戦う夏
全員野球で文京旋風起こす

 幾多の夏に激闘を演じてきた都立名門・文京。初夏を迎えて、チームはさらなる進化を遂げている。最後の夏へ向かう選手たちは、仲間たちのために全力を尽くす。

■野球ができる喜び  

春季大会は、ぶっつけ本番に近い状況だった。秋予選で敗退したチームは、春季予選にエントリーし富士森に6対4で競り勝ち、都大会出場を決めた。1回戦の相手は、私学強豪の国士舘。文京のユニフォームに袖を通した選手たちは、実力校相手に真っ向勝負。2回に2失点、3回にも追加点を奪われて0対3となったものの3回裏に斉藤陸(3年=内野手)の出塁を皮切りに、2番・尾上空(2年=外野手)のタイムリーなどで2点を奪い返して、2対3で5回までゲームを進めた。6、7回に失点を重ねて最終的には2対11の7回コールドという結果になったが、選手たちはベストを尽くした。何よりも、このチームは野球ができる喜びにあふれていた。

■夏の舞台で最高のプレーを  

コロナ禍でも選手たちは工夫を重ねて練習に取り組んできた。3年生は13人。入学時のコロナ禍の影響などもあり、例年よりも部員数が少ないという。この2年半、練習休止になった期間も多く、自主練習の時間も増えた。選手たちは、オンラインミーティングなども活用し、チームビジョンを共有。退部希望の選手をみんなで支えるなど、チームの絆は高まった。特別な時間を過ごしてきたと言える。梨本浩司監督は「この学年の生徒たちは、部活動が制限された上に学校行事が中止になるなど普通の高校生活を送ることができなかった。最後は、学校の仲間たちの応援の中で、思い切り野球をさせてあげたい」と話す。夏の開幕まで約1カ月半、選手たちは残された時間にありったけの情熱をぶつけていく。

■野球人生の集大成  

今年のチームは、打撃力が特長だ。リードオフマン板倉勇一(3年=内野手)、3番・植田英備主将(3年=外野手)の3年生を軸に「つなぐ打線」で戦っていく。2番・尾上空(2年=外野手)、4番・須藤勇真(2年=内野手)の2年生クラッチヒッターがアクセントになり、チームを活気づけていく。投手陣は、エースナンバーを背負う鈴木駿飛、背番号10の峰尾賢人の2年生投手が力を伸ばし、夏へ照準を合わせている。今年の文京にスター選手はいないが、スタンドを含めた部員全員が主役。各選手の個性をチームにインストールして大きな力を生み出していく。植田主将は「攻守に粘り強い文京の野球をみせて勝ち上がっていく。これまで支えてくれた親や指導者の方々に、自分たちの野球人生の集大成をみせたい」と力を込める。選手たちは文京野球を夏の舞台で体現する。

 

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