昨夏の東東京大会ベスト16
東東京屈指の打線、大旋風の予感
1984年の選抜大会初出場で初優勝を成し遂げた伝統校・岩倉。選手たちは、「勝利文化の構築」を目指して鍛錬を積む。そのミッションを遂行したとき、甲子園の道が再び拓ける。
■秋・春の悔しさを夏へ
昨夏のチームは、東東京大会で力強い戦いをみせてベスト16。4回戦では実力校・実践学園を強打で圧倒し8対2で勝利。5回戦では関東一に敗れたが、ベストを尽くして大会を終えた。今年のチームは、昨夏の主力が数人残ったが、秋・春で結果をつかむことができなかった。昨秋は一次予選で小山台に4対5で惜敗して都大会出場を逃した。今春は予選を突破し都大会へ。1回戦で目黒日大に勝利したが、2回戦でシード堀越と対戦。相手投手を打ち崩すことができずに3対7でゲームを終えた。残す大会は、夏のみ。投打の最終調整に向かうチームには、好材料が揃い、夏への大きな期待が生まれている。
■チームの一員として打席へ
春大会を終えて打撃が急激に進化している。選手たちは、各自が打席を振り返る「バッティングシート」をもう一度、徹底した。これまでも継続してやっていたが、分析を加えることで多くのことが見えてきた。相手がどう攻めてきているのか、自分がどんな球を打って、どんな球を打ち損じているのか。仲間のアドバイスなどをもらいながら、チームとして追求していくことでチームの打撃力が向上したという。打席は一人しか入れないが、その打席はチームのモノ。選手たちは、チームの一員として打席に立ち、次の打者へつなげていく。3月からのシーズンで12本塁打を放った1番打者・小山大和(3年=内野手)は「春大会前までは来た球を打つだけだったが、しっかりと考えるようになってから結果が変わってきた」と話す。春大会後、チームは急激な成長曲線を描いている。
■磨け!岩倉スピリット
チームは、昨夏も主軸として活躍した吉澤大翔主将(3年=内野手)を中心に巻き返しを誓う。リードオフマン小山、都屈指のパワーとスピードを持つ主砲・志村魁燦(3年=外野手)ら攻撃の駒は揃ってきた。主砲・志村は、もともとは右打ちだが、指揮官のアドバイスで左打ちにトライ、都を代表するヒッターとなった。小山、吉澤主将、志村の上位打線の攻撃バリエーションは東東京屈指。彼らの多彩な攻撃で得点を積み上げていく。今年のチームスローガンは「勝利文化の構築」。これまでは毎年、チーム状況に合わせて変えていたが、昨年からの継続となった。そしてサブタイトルのみ変更して「磨け!岩倉スピリット」とした。豊田浩之監督は「勝ち続けるチームとしての考え、メンタルを培っていかなければいけない。選手たちには、大舞台で岩倉スピリットを表現してほしい」と夏へ送り出す。吉澤主将は「秋と春は悔しい結果になった。自分たちが変わらなければチームは変わらない。全員で岩倉の新しい伝統を作っていく」と気迫を込める。勝利文化は、夏に勝つことによって醸成されていく。