秋予選敗退からのチャレンジ
冬の強化練習で心技体レベルアップ
2018、2019年秋にベスト8へ進出した湘南工大附。近年は安定した結果を残してきたが今年のチームは苦しんでいる。選手たちは、自分たちの甘さを克服して巻き返しを誓う。
■結果を受け止めてゼロスタート
昨秋予選はまさかの結果だった。地区予選で日大藤沢、大磯、茅ヶ崎西浜のブロックに入ったチームは予選突破を目指して、新チームでのスタートを切った。茅ヶ崎西浜には7対0で快勝したものの、大磯、日大藤沢に敗れて1勝2敗。ブロック3位となり予選通過を逃す結果となった。前チームは夏の神奈川大会で4回戦進出を果たしたが、メンバー20人中2年生は1人のみだった。新チームは経験値が少ない中での手探りの始動となったが、投手陣の整備が遅れたことも影響して結果をつかむことができなかった。内山雄太主将(3年=内野手)は「悔しさしか残らなかった。予選のあとの選手ミーティングでここからどうするべきかをみんなで話し合った。野球に取り組む姿勢から見直してゼロからスタートした」と話す。
■長いオフシーズンをどう過ごすか
例年であれば9〜10月に秋の県大会に入っていくが、予選敗退となったことで“長いオフシーズン”となった。選手たちは自分たちの甘さと向き合って努力を続けた。自信の乏しさから練習中の声も少なかった。チームは年末に砂浜ダッシュを実施して、選手みんなで声を掛け合って鼓舞していった。主砲・鳥屋創太郎(3年=内野手)は「予選で負けて初めて自分たちの弱さに気づいた。技術以前にチームのムードを自分たちで変えていかなければいけなかった」と振り返る。榊淳一監督は「力がないのであれば、上げていくしかない。何ができて、何ができないのかを整理してチャレンジしていった」と語る。結果をつかめなかったチームだが、長所もあった。このチームは試合での攻守交代が迅速で、試合のテンポが良いという。指揮官は「攻守交代の速さはこのチームの強み。相手よりも早く準備をすることは大きなアドバンテージになる。ここからが勝負です」と期待を寄せる。
■野望を胸に大海原へ
チームは内山主将、主砲・鳥屋、捕手・府川葵維(3年)を軸に一つになってきた。打線では、1番の佐藤諒弥(3年=外野手)の出塁から、鳥屋、府川へとつないでいく。捕手・府川、ショート内山、センター佐藤のセンターラインがチームの屋台骨となる。投手陣は、制球力抜群の小泉怜央(3年)、右サイドスローの酒井隆成(3年)、身長180センチ右腕・霧生翔晟(3年)の3本柱の目処が立ち、ゲームを作れるようになってきた。内山主将は「秋の悔しさは、春・夏の結果でしか晴らせない。一球一打を大切にして戦っていきたい」と気持ちを込める。2018、2019年秋ベスト8となったチームだが、その記録をアップデート(更新)していかなければいけない。「現状維持は退化。変化していくことで強くなれる」(榊監督)。チャレンジャーは、変化を恐れない。心技体をアップデートした湘南工大附は、野望を胸に大海原へ進んでいく。