2021年夏に42年ぶりベスト8
昨秋は初戦で宇都宮工を撃破
伝統校・鹿沼が上昇気流をつかみつつある。2021年夏に42年ぶりにベスト8へ進出したチームは昨秋にも“大物食い”をみせた。選手たちは、ベスト4以上を狙って春・夏へ向かっていく。
■昨秋は宇工、真工を撃破
鹿沼が昨秋季県大会で価値ある“2つの勝利”を挙げた。1回戦の相手は公立屈指の実力校・宇都宮工。下馬評は、宇都宮工の有利。おそらく、多くの関係者が宇都宮工勝利を予想したはずだ。しかし、鹿沼の選手たちは確固たる自信を持ってゲームへ臨んだ。「先制されても慌てるな」。篠原誠監督は、ゲームプランを選手と共有しプレーボールを迎えた。先発・中村拓人(3年)が安定した立ち上がりでゲームを作ると3回に2点を先取。5回からマウンドに上がった最速138キロ右腕エース猪瀬寛太(3年)がノーヒットピッチングでゲームを進めると、打線が終盤に奮起して7対1で快勝した。勢いに乗るチームは2回戦でも実力校・真岡工を下して3回戦へ進出してみせた。
■量と質を追求したチーム
鹿沼は、2021年夏まで中田憲一監督が指揮。同年夏に42年ぶりベスト8となった。その秋に伝統野球部を継承したのが篠原監督だった。伝統を継承しながら、選手たちに野球の魅力、奥深さを伝えている。指揮官は「楽しむというのは楽をすることではなく、勝利のために本気になること。うまい選手ではなく、戦える選手を育てていきたい」と指導に励む。この冬には、基礎練習に加えて選択制練習を実行。打撃、守備などのメニューをグラウンドに準備。選手たちがメニューを選ぶ形で“やる気”をうながし、練習をこなしていった。オフシーズンもボールを使って練習メニューを実践し、量と質を追求したチームは、ひと回り大きく成長した。
■大きな可能性を秘める選手たち
今年のチームは大きな可能性を秘めている。昨夏から背番号1を背負う絶対エース猪瀬が最速138キロのストレートを武器に打者を封じ込める。私学強豪にも真っ向勝負できる力を備えており、夏大会でも大物食いを成し遂げる可能性を秘める。馬力あるピッチングをみせる猪瀬は「インコースを強気に攻めるピッチングで、先輩たちのベスト8を超えて頂点を目指したい」と話す。打線は、高井太陽副将(3年=外野手)、石崎大喜副将(3年=内野手)のほか2年生主砲・加藤瑠真(2年=外野手)らがチームバッティングでつないでいく。守備の要は、セカンドの市川結基(3年)。チームスローガンは「アグレッシブベースボール」だ。信末祥弥主将(3年=外野手)は「今年のチームは、個性あふれる選手が揃っている。みんながアグレッシブに戦っていくことで結果をつかみたい」と大会へ向かう。秋の進撃は、夏へのプロローグ。鹿沼のドラマは夏にクライマックスを迎える。