岩渕一隆監督が勇退し新たな体制へ
選手たちは春季都大会快進撃で恩返し
専大附は2013年夏にベスト8へ進出し近年では2018年夏、2021年春にベスト16になるなど実績を残してきた。今春には35年にわたってチームを指揮した岩渕一隆前監督が勇退し、新たな体制でスタートを切った。
■情熱を注ぎ込んだベテラン指揮官
3月20日、専大附は春季都大会1次予選決勝で成瀬と対戦して12対1で勝利、都大会出場を決めた。試合後の全体ミーティングで岩渕前監督は選手たちに、こう伝えた。「予選突破、おめでとう。これからも野球と真剣に向き合って成長してほしい」。35年にわたり母校を率いて、チーム強化に情熱を注ぎ込んだベテラン指揮官は年度末をもって定年勇退することが決まっていた。春季都大会開幕は4月1日のため、1次予選決勝が“最後の公式戦”。岩渕前監督は選手たちの成長に目を細めながら試合を見守っていた。岩渕前監督は「今年のチームは3年生が少なく、2年生レギュラーが多い。みんなが頑張ってくれたが、ずっと努力してきた3年生が結果を残してくれたことがうれしかった」と試合会場をあとにした。
■春、夏の結果で恩返ししたい
新たにチームを任されたのは、助監督を務めていた専大附OB二井見淳監督。30歳の若き指揮官は、岩渕前監督から学んだ野球をベースに新たな時代を築いていく。伝統を継承する今年のチームは、制球力抜群の右腕エース川北伊織(3年)と、福田隼人主将(3年=捕手)のバッテリーが軸。福田主将は4番として攻撃の旗振り役にもなり、宍戸祥太副将(3年=内野手)もバイプレーヤー(助演)としてチームを支える。2年生リードオフマン八木勇成(2年=外野手)、3番・齋藤大輔(2年=外野手)、5番・角田大河(2年=内野手)も力を伸ばす。宍戸副将は「個人的には岩渕前監督の期待に応えられなかったのですが、礼儀や挨拶などを教えてもらって人として成長することができました。春、夏の結果で恩返ししていきたい」と話す。
■緑のプライドを宿す選手たち
チーム一丸となって臨んだ春季都大会は、1回戦・拓大一では序盤にリードを許したものの1対6で迎えた5回に打線が爆発してビッグイニングとなり一挙10得点。8回にも4点を追加するなど寄り切って16対6で快勝した。2回戦ではシード海城を7対0の7回コールドで下して3回戦へ進出。3回戦・聖パウロ戦では0対2の惜敗となったが、手応えはつかんだ。福田主将は「今年のチームは2年生レギュラーが多いが、攻守に力のあるチーム。接戦を勝ち抜いてベスト8を超えていきたい」と気持ちを込める。緑のプライドを宿す選手たちは新たな時代の扉を開けていく。