【福生】 「全力野球」

2021年夏ベスト32進出の都立情熱校
8月上旬の福島合宿でチームの絆が深まる

激戦区・西東京で粘り強い戦いをみせる福生。今夏も強豪相手に接戦を演じたチームは、夏の悔しさを知る1・2年生たちが軸となり新たなスタートを切った。

■今夏は世田谷学園に惜敗

2008年夏にベスト16、2015年夏、2021年夏にベスト32へ進出した実績を持つ福生。2021年夏にはエース伊藤寛人(現・亜細亜大)が140キロ超のストレートを武器に三振の山を築き4回戦へ進出してみせた。今夏も2回戦で帝京八王子を撃破すると、3回戦では世田谷学園と対戦。先発・新井陽翔(1年)の好投などで6回まで2対1とリードする展開。私学強豪に対して粘り強い戦いをみせたが、終盤に逆転を許して2対5で惜敗となった。4回戦進出は果たせなかったがレギュラー出場した1・2年生が、大会後に新チームを牽引。再び大海原へと出航した。

■高校野球は学校教育の延長

チームを指揮するのは、指導歴30年以上の永島良幸監督だ。専修大を卒業後に、大月市立大月短大附高(山梨県)の教員となり野球部を指揮。最高で県ベスト4の実績を残したが、少子化などによって2013年度で閉校。永島監督は、3年生8人のチーム(他部活から助っ人を加えて大会登録)で夏大会へ臨み、“完全燃焼”した。閉校後に都教員となり、2018年度から福生で生徒たちとともに野球を本気で楽しむ。永島監督は「野球指導ができる環境に感謝しながら指導させてもらっている。高校野球は学校教育の延長なので人間形成が大切。社会で通用する選手を育てていきたい」と指導に情熱を注ぐ。

■新チームの目標は「夏ベスト8」

福生のチームの目標は「ベスト8」。チームのモットーは「全力疾走、全力プレー、全力発声」。新チームは、夏にマスクをかぶった市川祐太主将(2年=捕手)を軸に、エース新井のバッテリーが安定。打撃では、竹中正悟(2年=内野手)、1年生で4番に座る佐々木僚太(1年=外野手)らが勝負強いバッティングをみせている。新チーム始動後の7月下旬には、都市対抗野球を観戦し、レベルの高い野球を学んだ。8月上旬には、3泊4日の福島合宿を実施。共同生活によってチームの絆を深めた。市川主将は「夏休みの合宿や練習試合によって新チームに大きな手応えを感じています。チームワークを武器に夏ベスト8を目指して全員で成長していきたい」と胸を張る。福生は全力野球で一戦一戦を勝ち抜いていく。その先に、人としての成長がある。

 

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