第76回秋季東海地区高校野球静岡大会 決勝レポート
藤枝明誠「3年ぶり3度目優勝」
夏の覇者に怯まず挑みまさかの圧勝 目指すは春の甲子園のみ 秋季大会静岡大会は、藤枝明誠の優勝で幕を閉じた。夏の興奮も冷めやらぬうちにスタートした新チームは、東海大会、そして初の選抜大会出場へ向けノンストップで駆け抜ける。(取材・栗山司)
■準々決勝で左腕・日吉が快投
悔しいサヨナラ負けから59日。藤枝明誠が決勝戦の舞台でリベンジを果たした。 夏は準決勝で浜松開誠館と対戦。8回までリードしている展開も9回裏に2点を許してサヨナラ負け。甲子園切符を逃した。 新チーム結成後は「最後まで何があるかわからない。スキを見せない」が合言葉となった。 準々決勝は今春選抜大会出場の常葉大菊川相手に勝利。左腕の日吉結雅(2年)が公式戦2度目の先発で4安打完封。投球の約8割が変化球で大きく鋭く曲がるナックルカーブとスライダーを駆使して、相手打線に的を絞らせなかった。「自分たちがやってきた守り切る野球ができ、自信になった試合だった」と主将の一瀬友希(2年=内野手)は振り返る。続く準決勝では粘る聖隷クリストファーを振り切って東海大会出場を決めた。
■大差でも気の緩みなく
決勝戦の相手は準決勝まで圧倒的な力で勝ってきた浜松開誠館。「個々の力がある相手。粘って粘って食らいついていこう」と臨んだ一戦だった。 藤枝明誠の一方的な試合となった。初回、2死一塁から4番・皆川皓也(2年=捕手)が「つないでいこうという意識だった」とライト方向へのタイムリー二塁打で先制。続く2回にも皆川が2死満塁から走者一掃の二塁打を放った。 前半で大きくリードを奪っても、ナインに気の緩みはなかった。ベンチでは「まだ勝てると思うな」という声が飛び交った。 終わってみれば15対3で圧勝。光岡孝監督は「こんな勝ち方をするなんて、1ミリも思っていなかった」と驚きの表情を浮かべた。
■総合力の高さで東海大会へ
3年ぶり3度目の優勝。光岡監督は3年前の優勝と比較し、「前回はピッチャーに頼る力が大きかった。ただ、今回は個々の能力は高くないが、総合的にバランスのすごくいいチーム」と話す。 指揮官が、優勝の要因に上げるのが失策の少なさ。県大会5試合で失策はわずか3つ。鍛え上げた守備力を発揮した。送りバントの正確性も光った。塁に出た走者をきっちりと進めて、チャンスを広げていった。「自分が思っている以上に試合を戦うごとに伸びていってくれた。少しずつ顔つきが変わり、自信をつけてプレーしているのを感じた」。 目指すは初の選抜大会出場。一瀬は気を引き締める。「東海大会では戦うチームの全てが自分たちよりも力があると思います。強いチーム相手でも粘り強く戦っていきます」。堅守につないでいく打撃。舞台が大きくなってもやることは変わらない。