【城西大城西】 「伝統復活へ」

2023年夏に38年ぶりのベスト4進出
『思いやり』と『仲間意識』を軸に頂点へ

1974、1979年に2度の夏甲子園出場した古豪・城西大城西。2023年夏の東東京大会では38年ぶりにベスト4へ進出。古豪復活への大きな一歩を踏み出した。

■秋都大会は関東一と接戦演じる

伝統校・城西大城西が再び地力を蓄えている。2023年夏の東東京大会では、実戦派右腕・馬場力也と左腕・溝口博斗のダブルエースが力を発揮。5回戦で堀越、準々決勝で実践学園に勝利して38年ぶりにベスト4へ進出した。準決勝では東亜学園に敗れたが復活を強く印象付けた。右腕・馬場は「良い戦いができたが、振り返ると悔いが残る。後輩たちは後悔ない戦いをして優勝してほしい」とエールを送る。新チームは秋都大会でも力強い戦いをみせると、1回戦で明学東村山、2回戦で工学院大附の実力校を撃破。3回戦では関東一と対戦、5投手の継投によって接戦に持ち込んだが2対3の惜敗、手応えを感じながら秋を終えた。関東一は都大会を制したため、城西大城西の戦いぶりは改めて評価されることになった。

■安保監督と市川助監督の豪華指導陣

2023年6月からチームを率いて、結果を導いているのは、安保隆示監督だ。高校野球名門・浦和学院で長きにわたりコーチを務めて、2020年から城西大城西を指導、夏大会前に監督を託された。指揮官は、選手の力を引き出すために「真剣勝負を楽しもう」と伝えると、選手との対話を重視しチームを構築していった。安保監督は「野球に失敗はつきもの。気持ちを切り替えて前向きにプレーできる選手になってほしい。選手は、監督の指示通りに動く機械ではない。意志を持った選手を育てていきたい」と語る。夏大会後に始動した新チームに伝えたことは「思いやり」と「仲間意識」。選手たちの「勝ちたい」気持ちに寄り添い、そのために何が必要かと問いかけていく。それが、夏、秋の飛躍の秘訣だ。さらに今春からは、元文京、王子総合指揮官で城西大城西OBの市川幸一氏を外部コーチ(今夏から助監督)として招へい。安保監督と市川助監督の最強タッグで東東京へ挑む。

■強力な打線と継投策で勝負

今季のチームは、強力な打線が武器のポテンシャル軍団だ。リードオフマンは、前チームからレギュラーとしてプレーする俊足強打の松本大成(2年=捕手)。2番はつなぎ役の今江優斗(2年=外野手)。クリーンアップの笹野陽介(2年=外野手)、生明京之介(2年=内野手)、木谷瑛太(2年=内野手)の破壊力は都屈指。4番の生明は「チームの勝利のために4番の役割を果たしたい」とバットを握る。投手陣は、小川瑠己(2年)、海老塚悠斗(1年)、小池琉飛(2年)らの継投でゲームをつくっていく。守備では、堅実な守備をみせるショートストッパー両角尚樹主将(2年)が屋台骨を支える。破壊力ある打撃を軸に守備力が高まれば、頂点を狙うだけのチームになる可能性が高い。両角主将は「それぞれの選手が役割を果たすことでチームは成長できる。先輩たちがベスト4まで勝ち進んでくれたのでベスト4を超えて甲子園へ行きたい」と力を込める。城西大城西は、伝統復活の狼煙を上げた。

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