夏・秋連続で準優勝。
13年ぶりの甲子園へ
2019年夏・秋の2大会連続で準優勝となった文星芸大附。
高根澤力監督就任から1年、進化を遂げるチームは確実に甲子園へ近づいている。
■ チームに復活の兆し
「あっという間でした」。
OB指揮官の高根澤力監督は、この1年間を振り返る。
2018年秋からチームのタクトを握り、「復活」をかけて後輩たちの指導にあたってきた。
春・夏通算12回の甲子園出場を誇る名門伝統校だが、2007年夏の甲子園出場を最後に12年間も聖地から遠ざかっている。
しかしながら、チームには復活の兆しが見え始めている。
高根澤監督の改革によって意識が変化してきた文星芸大附は、監督就任後の4大会で
いずれもベスト4以上。
今夏は甲子園まであと一歩に迫る準優勝、今秋は県準優勝で関東大会へ出場している。
指揮官は「なんとか勝ち上がってきたが、理想的なゲーム展開は1試合もなかった。
いつもギリギリの勝利だが、私が求めることが選手たちに浸透してきたという手応えはある」と話す。
■ 関東大会は初戦で惜敗
盛下瑠唯主将(2年=内野手)を先頭にスタートを切った新チームは、秋大会でも進撃をみせた。
エース高根匠人(2年)、主砲・角田祥太郎(2年=内野手)、高野魁(2年=外野手)らの投打の核が確立され、佐藤真也(外野手)、福田夢羽斗(捕手)の1年生コンビも成長を遂げた。
1戦ごとに力をつけた集団は、3回戦で石橋、準々決勝で白鴎大足利、準決勝で宇都宮工を接戦で下して夏に続いて決勝へ進出。
決勝では青藍泰斗に敗れたが関東大会切符を手にした。
選抜をかけた関東大会では、1回戦で山梨学院と対戦し、ゲーム中盤まで競り合ったものの終盤に力尽き、6対11で敗れて秋を終えた。
盛下主将は「関東大会独特の雰囲気にのまれて自分たちの力を出すことができなかった。
この経験を無駄にしてはいけない」と振り返った。
■ 「勝者のメンタリティー」
大学、社会人での豊富な経験を持つ高根澤監督は、勝者のメンタリティーを選手たちに植え付けている。
指揮官は、「見つけろ勝つための心」というチーム理念(ビジョン)とともに、野球に取り組む姿勢を伝授している。
その一つに「プライドを持て」というものがあるが、プライドとは“傲慢”や“うぬぼれ”とは一線を画し、自信と威厳に裏打ちされた“謙虚”なものであることを丁寧に教えている。
宇都宮学園時代の全盛期を知る高根澤監督は「理想は、破壊力のある打線で打ち勝つチームだが、まだそこまでの力はない。
ただ、心の部分は、自分たちの意識次第で、今日からでも変えていくことができる。
良い習慣付けが、選手を変えて、チームを変えていく。
その土台を作っていきたい」と語る。
文星芸大附は、「勝つための心」を一丸になって追求していく。
それが甲子園へとつながっていくはずだ。
角田祥太郎(2年=三塁手) 勝負強い打撃をみせる主砲
盛下瑠唯主将(2年=二塁手) 堅実なプレーでチームを支える主将
高根匠人(2年=投手) 最速137キロの直球を投げ込むエース
文星芸術大学附属高等学校
【学校紹介】
住 所:栃木県宇都宮市睦町1-4
創 立:1911年
甲子園:12回(春2回・夏10回)
宇都宮学園時代から甲子園通算12度出場を誇る名門。
プロ野球選手を多数輩出。
主なOBは真中満(ヤクルト前監督)、片岡治大(元西武、巨人)ら。