2025夏 群馬大会決勝【戦記】前橋育英 王者・健大高崎を追い詰めるも延長タイブレーク惜敗で涙
前橋育英

 

隅田川の3ランで先制し「力戦奮闘」

延長タイブレーク惜敗には万雷の拍手

 

前橋育英が群馬大会決勝で健大高崎を追い詰めながらも3対4で惜敗した。無念の準優勝となったが堂々たる戦いには大きな拍手が送られた。

 

■「健大キラー」の本領発揮

 前橋育英は群馬大会決勝で健大高崎と4度対戦し4勝。決勝戦では「健大キラー」ぶりを発揮していた。過去3年間は夏甲子園から遠ざかっているが、高いチーム力を誇示。だが今季は秋・春ともに準決勝で健大高崎にコールド負けを喫した。2013年夏に甲子園初出場で初優勝を成し遂げた実績を持つ荒井直樹監督は「いまの健大を倒すことに意味がある」と夏に照準を合わせてきた。夏に向けて1年生の新井悠河を抜擢するなど内野守備陣を刷新。夏仕様のチームで4年ぶりの上州制覇を目指した。

■エース片岡、リリーフ井澤が好投

 決勝・健大高崎戦は、左腕エース片岡季里が先発し130キロ中盤のストレートとキレのあるスライダーで真っ向勝負した。前橋育英は3回に2番・隅田川貴友がライトスタンドに3ランを打ち込んで先制に成功した。「みんなの思いがホームランにつながった」(隅田川)。3回裏に3点を奪われてスコアはイーブンに戻ったが、隅田川の一発が相手を本気にさせた。4回以降はエース片岡が力投をみせて得点を与えない。「人生で一番楽しいマウンドだった」(片岡)。7回からは井澤慶心がマウンドに上がり、140キロ超のストレートを軸に気迫のピッチングをみせた。井澤は9回まで無安打の好投をみせて、ゲームは延長タイブレークへ突入していった。

■互いのプライドがぶつかる攻防

 延長タイブレークは、健大高崎エース石垣元気との戦いとなった。一丸となって戦ったがあと一本がどうしても打てなかった。そして延長11回裏、相手の先頭打者にタイムリーを許して力尽きた。互いのプライドがぶつかった一進一退の緊迫した攻防。どちらに転んでもおかしくなかったが、わずかの差が勝敗を分けた。「勝てなかったが自分たちの力はすべて出し切ることができた」(原田大聖主将)。荒井監督は「選手たちは春から大きく成長し、決勝戦でも素晴らしい戦いをみせてくれた。この選手たちと一緒に甲子園に行って1日でも長く野球がしたかった」と語った。この激闘は高校野球ファンの間で語り継がれるだろう。

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