2025年秋【ドラフト】新井 唯斗[八王子]西武育成1位指名 走攻守三拍子揃った万能プレーヤー
八王子 新井唯斗


新井 唯斗[八王子]

走攻守三拍子揃った万能プレーヤー

 世代屈指のポテンシャルを秘める八王子・新井唯斗(3年)がプロ野球志望届を提出、10月23日開催のドラフト会議での西武から育成1位指名を受けた。俊足・巧打・強肩のフィールドプレーヤーは母校のグラウンドでコンディション調整しながら入団を待つ。

■セ・パ約10球団から調査書が届く


 甲子園出場のための戦いは西東京大会準決勝・日大三戦で終わった。八王子の主将として神宮球場の大舞台に立った新井は全身全霊のプレーを見せたが、チームは2対2で迎えた9回裏にサヨナラ本塁打を打ち込まれて2対4で敗れた。

「負けた瞬間はショックで“無”になってしまい何が起きたのか分かりませんでした。球場を出るときに応援してくれた人たちが涙で出迎えてくれて、そのときに初めて負けたと理解しました。ただ、落ちついてからは、やりきったと考えるようになりました。キャプテンの自分についてきてくれた仲間に感謝したいと思いました」


 7月27日に大会を終えてからは安藤徳明監督の助言もあり、3週間ほど野球から離れたという。物心ついたときからプロ野球選手になるのが夢だった。東京神宮シニアから八王子へ入学したときもその思いは変わらなかった。

寮生活で野球に専念する日々。1年夏からレギュラーとしてプレーする中で、自分には野球の道しかないとあらためて考えるようになった。3週間も野球を“忘れた”のは初めてだった。再び、グラブをはめたのは8月下旬。甲子園へ行くためではなく、夢へ向かっての“再起動”だった。9月中旬には家族でプロ野球観戦に出掛けた。

「自分が目指すべき場所を一人のプロ野球ファンとして観て、やっぱり迫力を感じました。自分もプロの舞台でプレーしたいと思いました」


■俊足・強肩にプロスカウト陣が高い評価


 9月9日に志望届を提出したが、進路に関して迷いもあった。関係者を通じてMLBマイナーに挑戦してみないかという話が来たという。思わぬオファーに心が少し揺れたが、最終的にはNPBからの指名を待つ道を選んだ。

「日本でプロ野球選手になりたいという軸はブレませんでした。まったく知らない環境に行って野球以外で苦労するよりも、国内で評価してくれる球団があるならば、その環境でプレーしたいと思いました」


 志望届提出後にはセ・パ約10球団から調査書が届き、各球団スカウトと面談を実施した。新井はセンター、ショートでプレーしていたほか投手としても145キロをマークする万能型。理想の選手像は鳥谷敬(元阪神)。安藤監督は「走攻守に加えて速さ、強肩などの特徴を評価してもらっているようだ。どのポジションでもプレーできるし伸びしろを含めて価値があるという声を聞いている」と語る。

ドラフト会議で西武から育成1位指名を受けた。


 「自分の武器は、遠投110メートルの肩と50メートル走6.0秒の速さ。あと独学で覚えたピアノの弾き語りです(笑)。チームが求めるプレースタイルを表現できるような選手になりたい。そして多くのファンから応援される選手になりたいです」。甲子園を目指す日々は終わったが、夢を追う戦いは続く。

PROFILE
新井唯斗(あらい・ゆいと)
2007年11月11日埼玉県生まれ。走攻守三拍子揃ったフィールドプレーヤー。遠投110メートル、50メートル走6.0秒。最速145キロ。東京神宮シニア(柳瀬中)から八王子へ進学。183センチ77キロ。趣味は独学で学んだピアノ、ギター。好きなプロ野球選手は鳥谷敬(元阪神)。

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