2020年ブレイクの予兆
安田尚憲(ロッテ=履正社出身)
次代を担う高卒3年目の和製スラッガー
履正社の主砲として高校通算65本塁打を放ち、2017年にロッテからドラフト1位指名を受けてプロ入りした安田尚憲。
高卒2年目の2019年にはファーム二冠に輝くなど確かな成長を見せる若武者に、自身の高校時代と今後の目標を聞いた。
(取材・三和直樹)
■『考える野球』を追求した高校時代
-履正社入学を決めた理由は?
「中学の時から高校野球で終わるつもりはなくて、プロを目指してやりたいという思いが強かった。
その中で、履正社の野球部は『考える野球』というものを掲げていて、練習から自分たちで考えてやるというチームの方針や、野球部の雰囲気が自分に合っていると思ったので決めました」
-履正社には寮がなく、全員が自宅から通学するという環境でした
「僕の場合は自宅が近かったんですけど、もっと遠い部員もいて、寮がない分、練習時間は短かった。
そういう環境でしたから、練習の質を濃く、という意識は強かったですね。
今、考えても履正社で良かったと思います」
-高校時代の練習で印象に残っているもの、意識していたことはありますか?
「トレーニングとは少し違いますが、食事面には力を入れてやっていましたね。
栄養士さんもいて、いろいろと指導してもらっていました。
でも寮じゃない分、普段どんな食事を摂るかというのも結局は自分次第。
そういう面でも自分で考えてやるという意識を持っていました。
どうやったら、寮があって練習時間も長い大阪桐蔭に勝てるのかを常に考えていました」
-2年夏、3年春と甲子園に出場しました。
改めて甲子園はどのような場所でしたか?
「ずっと憧れの場所でしたし、そこを目指して苦しい練習もこなしてきたので、特に初めて出た2年夏の時は地に足がつかなくて、ずっとフワフワした感じでしたね。
3年の時も含めて、楽しい思い出しかない。
負けて悔しいという思いはもちろんありましたけど、甲子園の舞台でプレーできるという喜びの方が大きかったですね」
-最後の夏は大阪府予選で大阪桐蔭に敗れました。
負けた瞬間の気持ちは?
「悔しかったですけど、そこまで落ち込むことはなかったです。
もちろん甲子園に行きたかったですけど、負けた次の日には気持ちは切り替えられていましたね。
振り返ると、高校野球はやり切ったという感覚があったのかも知れないです」
■周りと一緒ではダメ
-プロ2年目のシーズンを終えて?
「あっという間にというか、思っていたよりも早く1年が過ぎていったという感じで、うかうかしていられないなという気持ちです。
野球が仕事になって、野球について考える時間も格段に増えましたし、これからさらに上に行くためには、これまで以上にもっともっと野球のことを考えなければいけないという思いです」
-2019年シーズンはイースタンで本塁打王と打点王の二冠を獲得しましたが、成長できているという実感、手応えは?
「1年目よりもプロでやっていく体力は付いてきましたし、シーズンの流れというのも掴めてきました。
でも技術面は、ぜんぜん納得できていない。
1軍で活躍するということを考えると、まだまだやることはたくさんあると思います。
ファームでタイトルを獲らせてもらったことはすごく光栄なことでしたけど、満足してはいられないです」
-2019年夏の甲子園で母校・履正社高校が全国優勝を果たしたことも大きなニュースになりました
「そうですね。
すごく嬉しかったです。
僕たちは春の準優勝で終わっていて、やっぱり優勝と準優勝はぜんぜん違う。
履正社としても全国制覇は初のことでしたからね。
僕自身、すごく勇気をもらいましたし、自分も頑張らないといけないという刺激ももらいました」
-履正社の岡田龍生監督の指導の中で一番覚えていることは?
「履正社は『考える野球』というのがモットーで、岡田監督には『プロに行きたいなら人一倍野球のことを考えろ!周りと同じじゃダメだぞ!』とずっと言われていました。
高校からプロ入りするというのは、大学、社会人という舞台を一気に飛び越えるということでもあるので、より一層、周りと一緒ではダメだと思ってやっています」
-今の安田選手から見て、高校時代にやっておくべきことはどういうことだと思いますか?
「まずは野球を楽しむこと。
やっぱりやらされる練習では身につかないですし、言われたことをやるだけではなかなか上手くならない。
どうやったら上手くなるのか、どうやったら打てるようになるのかを、自分自身で考えて練習すること。
それだけで変わってくると思いますし、大切なことだと思います」
-今後の目標は?
「1軍でプレーするというのが目標になります。
プロは厳しい世界ですけど、2年間やってわかった部分もありますので、その上でしっかりと気を引き締めて上を目指したい。
将来的にはチームを背負っていく選手になりたい。
U-18高校日本代表は経験させてもらいましたけど、今度はトップの侍ジャパンのユニフォームも着てみたい。
そのためにもしっかりと練習して自分自身を成長させていきたいと思います」
【プロフィール】
1999年4月15日、大阪府生まれ。
吹田市出身で中学時代はレッドスタークラブに所属。
履正社では甲子園に2度出場(2年夏、3年春)。
高校通算65本塁打を放ち、早稲田実の清宮幸太郎とともに世代を代表するスラッガーとして名を馳せた。
2017年秋のドラフトで3球団競合の末に1位指名でロッテに入団。
2年目はイースタンリーグで本塁打と打点の二冠を獲得した。
守備位置は三塁、一塁。
188センチ、95キロ。
右投げ左打ち。