今夏2回戦で都立小山台に競り勝つ
コロナ禍で練習は「午前8時から1時間」
城北は今夏の東東京大会2回戦小山台戦で2対1と勝利し周囲を驚かせた。
夏の主力が残る新チームは、さらなる結果を求めて団結している。
2020年10月号掲載
■コロナ禍で確かな足跡
今夏の東東京大会1回戦荒川工の先発は、増田滉生(2年)だった。
増田からエース中村陽紀(3年)への継投により2対1で競り勝った。
この試合、城北はギャンブルを仕掛けていた。
2回戦・小山台戦で先発予定の2年生長身右腕・島田開斗をメンバーから外した。
島田は、荒川工で投げた二人と遜色ない力を持っているためベンチに入れるべき投手だったが、小山台戦の“隠し球”として温存した。
スカウティングに定評がある小山台の眼に、触れさせないための秘策だった。
もし荒川工で負ければ、島田は登板機会を失っていた。
門多元監督は、島田に理解を求めた上で、2回戦の準備をさせていた。
小山台戦の先発マウンドに立った島田は、緩急をつけた投球で3回を1失点にまとめてエース中村へつなぎ、2対1の勝利に貢献した。
城北は、3回戦で二松学舎大附に敗れたが、コロナ禍で確かな足跡を残した。
■文武両道を貫く選手たち
難関大に多くの生徒を送り出す進学校・城北を率いるのは、門多元監督。
早大学院から早稲田大へ進んだ「ハンカチ(斎藤祐樹)世代の元高校球児」。
大学では野球を離れたが、大学卒業後は英語教員となり、多摩大聖ヶ丘を経て2017年に城北に着任し部長となると、2018年秋から監督としてチームを指揮している。
徳永博史前監督(現部長)が掲げた「考える野球」を継承し、技術の向上とともに人間的な成長を促す。
部員は、中学からの内部進学に、高校からの選手を加えた集団。
文武両道を貫きながら練習に励み、2018年夏4回戦、2019年夏3回戦、2020年夏3回戦と実績を残してきた。
門多監督は「生徒たちから野球への情熱が伝わってきます。一生懸命にやっているので、なんとかして結果につなげてあげたいと思っています」と選手に寄り添う。
■コロナ禍で「新しい練習時間」
コロナ禍で「新しい練習時間」となった。
昨年度までは放課後練習だったが、コロナ禍によって学校は「午後4時完全下校」を決定。
野球部をはじめ部活動は午前8時から1時間となった。選手たちは午前7時半すぎに登校しユニフォームに着替えてグラウンドへ飛び出す。
夏大会後に始動した新チームも1時間という練習時間の中でチームの形を構築している。
夏大会を経験し新チームでもクリーンアップに座る加藤大祐(2年=内野手)は「夏大会は3年生のためにプレーしましたが、これからは自分たちのチーム。
挑戦者としての気持ちを忘れずに自分たちの代で成果を残したい」とバットを握る。
磯崎大輔(2年=捕手)は「1日1日、全力でプレーして、悔いの残らない高校野球生活を送りたい」と練習に臨む。
練習時間は限られているが、創意工夫を重ねながら成長を目指す。
大西創志主将(2年=内野手)は「どんな相手でもしっかりと戦えることを3年生が教えてくれた。一球一球を大切にして、城北の次の歴史を作っていきたいと思います」と前を向く。
城北は、思考力と情熱を力にさらなるサプライズを起こしていく。