【加藤学園 野球部】「聖地」#加藤学園

「甲子園交流試合」で甲子園初出場

鹿児島城西に勝利し、新たな歴史

加藤学園がセンバツ代替試合「甲子園交流試合」に出場し、初めて甲子園の土を踏んだ。

聖地を経験したチームは新たな一歩を踏み出した。

2020年10月号掲載
(取材・栗山司)

■甲子園初出場初勝利

神宮大会枠でのセンバツ初出場決定の歓喜。

史上初のセンバツ中止の落胆。

夏の代替大会での初戦敗退。紆余曲折を経ながら8月12日、加藤学園ナインはついに聖地の土を踏んだ。

「甲子園交流試合」の3日目に鹿児島城西と対戦。

エースの肥沼竣(3年)が119球の力投で完投すると、打線は大村善将(3年=内野手)のタイムリーと杉山尊(3年=内野手)のランニング本塁打で3点を奪って勝利を掴んだ。

加藤学園は、たった1試合ながら、歴史の扉を開いた。

米山学監督は「思い切って戦うことができた」と試合を振り返る。

7月の代替大会では「甲子園に出るから勝って当たり前」というプレッシャーに、知らず知らずのうちに受け身になっている部分があった。

結果的に加藤学園の特徴のつなぎの野球が欠けた。

その後、「甲子園交流試合」に向けて米山監督は「もう一度チャレンジャーの気持ちで戦おう」とチームを鼓舞。

甲子園では本来の全員野球で躍動した。

■攻めていく気持ちを貫く

甲子園から帰静後、新チームは翌日からスタート。

主将はチーム内のアンケートの結果、内田歩希(2年=内野手)に決まった。

内田は「選ばれたからには自覚を持ってみんなを引っ張っていきたい」と抱負を語る。

「練習から一球一球に集中して、一球を無駄にしない。必死に頑張ることが大切だと思っています」。

まずは内田が中心となり、全員の心を一つにまとめた。

そんな新チームについて、米山監督は明るさが特徴だと話す。

「学校の中でも2年生は明るくてエネルギーを持っていると言われている。この代はそれを生かしながらチームを作っていければと思っている」

ただ、加藤学園として変わらないものもある。

「失敗を恐れずに、みんなで攻めていく気持ちや挑戦していく気持ちは絶対に忘れてはならない」と米山監督は強調する。

新チームでの目標は秋の県優勝。そして、もう一度、あの舞台に戻ることだ。

前チームのエース・肥沼のような絶対的な投手はいないものの、1年秋からマスクを被る雨宮快成(2年=捕手)、強打の佐野陸斗(2年=外野手)、1年生ながら「甲子園交流試合」で溌剌としたプレーを見せた太田圭哉(1年=内野手)など戦力は整う。

チームを束ねる内田はこう意気込む。

「今回、先輩たちのおかげで甲子園に立てたのは誇りです。自分は試合に出られなかったのですが、ベンチから見てプレーしている選手がかっこよかったです。その経験を生かし、もう一回、2年生と1年生で甲子園に行って先輩に恩返ししたいです」

加藤学園のグラウンド、ネット裏にはチームのモットーである「全ての事は心からはじまる」という文字が大きく掲げられている。

「心」のこもった練習を原点に、さらなる高みに挑み続ける。

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