2000、2005年の西東京大会準優勝
文武両道名門が本気で狙う甲子園
2000、2005年の西東京大会で準優勝となった明大中野八王子。椙原貴文監督のもと地力をつけるチームは、本気で甲子園を狙えるところまで辿り着いている。
(2021年2月号掲載)
■OB指揮官のチャレンジ
八王子郊外の専用グラウンドには活気があふれている。
チームを率いるのは、2000年の西東京大会準優勝チームのエースだった椙原監督だ。2015年から母校の指揮を執るOB指揮官は、自らの代で果たせなかった甲子園出場の夢を後輩たちに託すかのように情熱指導を続けている。
魂が宿ったチームは2016年夏西東京大会ベスト16、2017年夏西東京大会ベスト8、2018年夏西東京大会ベスト16。2019年秋には絶対エース江口陽太を擁し１回戦で二松学舎大附に勝利すると、３回戦では同大会で優勝した国士舘と６対７の好勝負を演じた。
2020年夏は甲子園を狙えるチャンスだったが、コロナ禍によって甲子園大会が中止になる中、独自西東京大会４回戦で早稲田実に敗れた。
■秋季大会は日大豊山に惜敗
2021年の夏へ向かうチームは、前チームから試合に出ていた選手が多く、打撃力は椙原監督就任後の過去５年で最高。士気高く昨年秋季大会1次予選へ臨んだチームは練馬、京華を下して都大会へ進出。初戦で実力校・東京実を撃破すると、２回戦で日大豊山と対戦した。黒島拓実（２年）、井上仁（２年）の継投で接戦に持ち込んだが、打線がつながらずに3対４の僅差で敗れる結果となった。守備のミスからの失点が響いたゲームでもあった。
三部大智主将（2年＝内野手）は「スコアは１点差でしたが力負けした印象です。春、夏に勝ち上がるにはもっと力をつけなければいけない」と敗戦を受け止める。チームはこの冬、スケールアップを図る。
■ポテンシャルは十分
チームのポテンシャルは十分だ。
打撃は、１番・須江陽海（２年＝内野手）、３番・三部主将、４番・築地星流（2年＝内野手）、５番・黒島の上位打線が破壊力あるバッティングをみせる。投手陣は、黒島、井上の両左腕が球速を伸ばし力強さが増している。投打の潜在能力は、都屈指。この力をいかに発揮できるかが鍵となる。コロナ禍で練習時間も限られているが、自主練習の動画をスマホなどで椙原監督へ送り、アドバイスを得ることで意識を高めている。チームはトレーニングに工夫を凝らしながら個のレベルアップに励む。
椙原監督は「チームの力は上がってきている。春、夏は『明八が、ついに来たな』と言ってもらえるような戦いと結果をみせたい」と球春を待つ。眠れる獅子が目覚めようとしている。
