勝者のマインド・勝者の選択・勝者の矜持
栄光の軌跡、もう一度甲子園へ
1984年の選抜で初出場初優勝の快挙を成し遂げた岩倉。1997年夏以来、甲子園から遠ざかるチームは「勝利文化の構築」をスローガンに掲げて、復活を懸ける。
■勝利へこだわる姿勢が大切
岩倉は2019年夏の東東京大会でベスト16へ進出したが、それ以降の大会では、コロナ禍の影響もあり、2回戦よりも先へ進めていない。チームに力がないわけではないが、勝負所で持てる力を発揮することができないのだ。チームは毎年ごとにスローガンを掲げている。「オレがやる」「Don’t worry, Be happy」などチームの課題や置かれた現状を考慮した上でのメッセージがほとんどだったが、今年はちょっと変わったスローガンになった。
「勝利文化の構築」。豊田浩之監督は「チームは勝ち方を忘れてしまっている。もう一度、原点に戻って、勝利へこだわる姿勢をみせなければいけない。勝利の文化を築くためには何が必要か、選手たちが考えなければいけない」と、勝者のメンタリティーを選手たちに植え付けようとしている。
■個性あふれる選手たち
チームには個性あふれるプレーヤーが並んでいる。グラウンドやゲームでひと際、目立っているのは身長180センチ体重120キロの超大型スラッガー久保田真梧(3年=内野手)だ。金属バットをおもちゃのように振り回しながら快音を響かせる。練習場では場外までボールをかっ飛ばし周囲をあ然とさせている。岩倉のドカベンが東東京大会の主役になれば、チームはおのずと勝ち上がれる。守備ではエース古坂虎汰朗(3年)が長い手足を生かして、伸びのあるストレートを投げ込む。投打の「二刀流」髙畠雅裕主将(3年=内野手・投手)も常にスタンバイ。投手陣は、古坂、髙畠の右腕のほか左腕・勝村奏汰も出番を待つ。選手の個性が融合すれば、このチームは大化けするかもしれない。
■勝者の矜持を胸に
春季都大会は1回戦で実力チーム・実践学園と対戦した。ゲームは、古坂、髙畠の継投により1対2で最終回へ。2死から久保田のタイムリーで同点にすると、吉澤大翔(2年=内野手)が逆転打を放って3対2。最後は左腕・勝村が締めて逆転勝ちした。2回戦・日本学園は0対5のビハインドから一時は逆転したが、延長11回タイブレークで敗れた。流れは岩倉だったが、勝利から見放されてしまった。髙畠主将は「勝ちきれないのは何かが足りないから。普段の練習やプレー以外の部分から雰囲気を作っていって、自分たちで勝利文化をつくっていかなければいけない」と足元を見つめ直す。勝利文化は、勝つことでしか手に入れることはできない。
一戦必勝。岩倉は、勝者の矜持を胸にゲームに向かう。