北相地区のダークホース
雑草は踏まれても立ち上がる
北相地区のダークホース 柏木学園が、激戦区の予選を勝ち抜き、県大会出場を続けている。県大会ではまだ結果をつかむことができていないが、選手たちはひたむきな姿勢で野球と向き合っている。
■心技体を鍛えていくチーム
激戦区・神奈川の北相地区予選を勝ち抜きコンスタントに県大会進出を果たしている柏木学園。中学時代に実績を残した選手たちではないが、日々の練習によって着々と力をつけていく。ひたむきに戦っていく雑草軍団だが、近年の大会では横浜隼人、法政二、相洋などの強豪校に食らいつく戦いをみせている。雑草は何度踏まれても立ち上がる。選手たちは、敗北を恐れることなく相手に立ち向かう。
練習によって心技体を鍛えていくチームだが、コロナ禍によって練習時間が制限された。就任18年目を迎える上原幸太監督は「うちは年間を通じて一生懸命に練習することで、積み上げていくチーム。頑張れる時間が失われていることは、チームにとって難しい状況。でも、それに悲観することなく、新たな方法を探していかなければいけない」と話す。チームにとって今はターニングポイントだ。
■強い気持ちで立ち向かう
チームはコロナ禍でも粘り強さを発揮している。今夏は1回戦で伊勢原に8対1で勝利し2回戦へ。2回戦では藤嶺藤沢と戦い7回まで0対3と食らいついた。8回に7失点して0対10にされたが、8回裏に1点をもぎ取り、執念をみせた。結果的には1対10の8回コールドだったが、その「1点」が新チームにつながっていく。新チームは2年生19人、1年生9人の計28人。今秋の北相地区予選では、綾瀬西に3対9で敗れて苦しい状況となったが、最終的には2勝1敗で予選突破。本大会に駒を進めた。秋季大会1回戦では鶴嶺に7対8と惜敗したが、持てる力は発揮した。目指すのは「意志ある野球」。攻守の要・大原銀太(2年=遊撃手)は「練習では技術だけではなく人間的な部分も教えてもらっている。人として成長することで野球に対する考え方が変わってきた」と話す。
松本悠暉主将(2年=捕手)は「強い気持ちで相手に立ち向かうのが柏木学園の野球。泥臭くてもいいから、ひたむきに勝利を目指す」と気持ちをみせる。
■仲間と共に戦うことの価値
柏木学園の練習は、決して楽ではない。だが、たゆまぬ努力と厳しい練習が選手たちを強くしていく。チームの方針にブレはない。コロナ禍では、自分自身に負けない気持ちが試される。松本主将は「力のないチームは練習するしかない。ひたむきに努力することで人間的にも成長できていると思う」と話す。上原監督は、練習を通じて人間教育を行っている。すべては高校3年生の夏、そして生徒の将来のため。野球部OBが成長して学校に挨拶に来ることが、指揮官の一番の喜びという。「社会は高校野球以上に厳しい世界。困難から逃げるのではなく逆境に負けない選手、そして社会人になってほしい」(上原監督)。
柏木学園は、野球を通じて、あきらめないことの大切さ、這い上がることの意味、仲間と共に戦うことの価値を伝えていく。チームは、何度負けても這い上がる。