強豪撃破し上州の頂点踏破
2020年春選抜以来の甲子園へ
秋季群馬県高校野球大会決勝で桐生第一が12対7で健大高崎を下して2年ぶり8回目の優勝を決めた。今夏の群馬大会3回戦で敗れたチームだったが2年生の多くが夏を経験し、夏の悔しさを秋季大会で体現した。準々決勝で前橋育英、準決勝で前橋商、決勝で健大高崎という強豪勢を倒して栄冠をつかみ取った。群馬県1位・桐生第一は、選抜出場をかけて秋季関東大会(10月30日開幕予定=茨城県)へ出場する。
2年ぶり8回目の優勝
2年分の思いを込めた勝利
桐生第一が秋季群馬県大会決勝で健大高崎を下して2年ぶり8度目の秋優勝を果たした。夏の敗戦を糧に立ち上がった選手たちが栄冠をつかんだ。(撮影・森田威志)
■悔しさを糧に進化した選手たち
2年分の思いを込めた勝利だった。桐生第一は2018年秋に監督交代となり、コーチだった今泉壮介監督が指揮を執ることになった。突然の監督交代となったため翌2019年春の1年生の入部が少なかった。その1年生たちが3年生となった前チームは、2年生と共に戦ったが、春季県大会は3回戦で関東学園大附に0対12でコールド負け。再起をかけた夏は3回戦で前橋育英に敗れてシーズンを終えた。新チームは、三塚琉生主将(2年)、主砲・提箸優雅(2年)、エース北村流音(2年)ら前チームでの悔しさを知る選手たちが主軸となった。今大会準々決勝では前橋育英を退けてリベンジを果たすと、準決勝では前橋商を撃破し決勝進出を果たした。
■決勝戦は撃ち合いを制す
決勝・健大高崎戦は、総力戦となった。序盤に6失点し2回を終えて1対6となったが、底力をみせていく。3回に提箸のタイムリーなどで2点を返すと、5回には寺門京佑(2年)の2点三塁打で2点を奪う。7対7の同点で迎えた9回には三塚主将の「幻の満塁ホームラン(1塁走者を追い越し、3点が加わったが単打扱い)」などで一挙4点を奪い、撃ち合いを制した。リリーフ陣の寺門、エース北村が3回以降、健大高崎打線を1点に抑えて、勝利をつかみ取った。3番・三塚主将は3安打3打点、4番・提箸は4安打3打点の活躍となった。三塚主将は「序盤にリードされても、あきらない気持ちで戦った。後半に粘り強い戦いができたと思う」と話した。
■群馬1位で関東へ、もう一度甲子園へ
桐生第一は、群馬1位で関東大会へ出場する。「このチームの選手たちは、前チームから試合に出ているのでその経験が強み。一戦ごとに成長してくれた」(今泉監督)。2018年秋に就任した今泉監督にとって初甲子園出場となった2020年選抜大会は、コロナ禍によって中止となり、甲子園の舞台は夏の交流戦1試合のみの結果となった。2020年夏の独自大会は、優勝を果たしながらも甲子園大会はなかった。「幻の甲子園」。2020年は選抜甲子園出場という「記憶」は残ったが、「大会記録」は残っていない。記録を残すためには、もう一度、選抜出場権を獲得する必要がある。桐生第一は、選抜切符を目指して関東大会へ向かう。その先には甲子園がはっきりと見えている。