【片倉 野球部】「雌伏、爆発のとき」 #片倉

早期敗退と自粛期間を経て
再び“片倉旋風”を巻き起こす

2010年夏からの10年の間に春夏秋を合わせてベスト16以上8回、2012年夏にはベスト4入りを果たした都立片倉。緊急事態宣言が解除されて間もない春、彼らの練習場所に足を運んだ。(取材・三和直樹)

 

■春風の中で感じたもの

気合の入った声と真剣なプレーの合間に笑い声が漏れる。桜が舞う球場を駆ける片倉ナインたちの表情は明るく、晴れやかだった。

矢口海莉主将(3年)は「自粛期間が長く心配な部分はありましたけど、みんながモチベーション高くやれています。もう1回、イチからチームを作り直す気持ちです」と、額に滲んだ汗を拭いながら春の空気を思い切りよく吸い込んだ。  都立の強豪・片倉だが、コロナ禍の昨夏は1回戦で聖パウロ学園の前に敗退。新チームで臨んだ秋も、一次予選代表決定戦で上野学園に1対5で敗れた。その悔しさを今春に晴らすつもりだったが、緊急事態宣言延長の影響で一次予選が中止となり、残る舞台は「夏」のみとなった。宮本秀樹監督は「これまでも選手が自主的に練習する時間を長く取ってきたので影響は少なかった。連係面は足りないけど、単純に打つ、投げる、走るという部分ではしっかりと成長している。自分自身と向き合って課題に取り組むという意味では、むしろいい時間だった」とプラスの面を強調する。

■「面白いチーム」になる

自粛期間中、選手たちが決めたことは「現状維持じゃなく、レベルアップする」(矢口主将)。全体練習再開後、選手たちの動きを見た宮本監督は「下の学年も含めて、1つのポジションに同じぐらいの実力を持つ選手が2人ずつ揃う。そういうのは初めてかな。競わせながら力を伸ばしていければ、すごく面白いチームになる」と期待を寄せる。特に投手陣は3年生2人(橋口拓海、田中祐人)、2年生4人(ジョンソン・マーカス太一、高岡大、時崎空汰、藤田遥大)がしのぎを削る。

打線は、スピード自慢の宮路太育(3年=外野手)、麻野凛空(2年=内野手)が1、2番の構想で、4番に座る角田樹一希(3年=外野手)はパワーと柔らかさを兼ね備えた強打者。その他にも主将矢口や有村星穏(3年=内野手)らバットを強く振れる打者が揃う。矢口主将は「このチームには個性のある選手がたくさんいる。それぞれの長所を生かして、短所をカバーしながら戦えるようにしたい。そうすれば面白くなる」と自信を覗かせる。

■勝利への渇望、爆発の準備

大会の経験不足は致し方ない。あとはチーム内競争を続けながら、夏までにどこまで力を伸ばし、自信を高められるか。主砲・角田は「もう夏しか残っていない。そこで大暴れできるようにしたい」と力を込める。秋、冬と地道な練習を続け、春の舞台を奪われた今、片倉ナインの勝利への渇望は、いまだかつてないほど高まっている。その気持ちは、チームを率いて13年目を迎えた宮本監督も同じ。「チーム全体の力を考えたらベスト4の時と比べても遜色ない。むしろ上回る可能性がある。このあたりでもう1回、暴れたい」と力を込める。

雌伏の時を経て、勝負は夏。昨秋、そして今春の鬱憤(うっぷん)を晴らすような戦いを見せ、群雄割拠の西東京で“片倉旋風”を再び巻き起こす。

 

 

 

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