野球部誕生99年目で秋県大会初出場
チームスローガンは「凡事徹底」
藤枝北が今秋、創部99年目にして初の秋県大会出場を果たした。チームは「凡事徹底」をスローガンにさらなる成長を目指す。(取材・栗山司)
■心の野球
この秋、新たな歴史の扉を開いた―。 1923年に創部した藤枝北。野球部誕生から99年目となる今年、秋の県大会初出場を果たした。
8月からコロナ禍で練習試合ができず。1回戦も不戦勝。実戦感覚が不足する中で中部大会県代表決定戦(対川根)を迎えた。試合は2度も同点に追いつかれる苦しい展開。それでも、6回に1点を勝ち越すと、エースの笹原神壱(2年)が力投し、4対2で勝利。入学後、公式戦初白星が県大会出場を決める大きな1勝となった。「元々自信のある子たちではないので、最初は雰囲気が堅かった。それでも、諦めずに粘り強く戦って勝ちをもぎ取ることができた。選手たちの成長に繋がるし、こうやって少しずつ伝統を積み重ねていけたらと思う」。
そう語るのが2017年から指揮をとる近藤好正監督。就任後、「凡事徹底」をスローガンにチームを強化してきた。 「徹底できることは徹底していこう」と挨拶、道具の手入れ、身の回りの整理整頓から地道に取り組んだ。「一番大事にしているのは心の部分。心の面を強くして、応援されるチームを目指している」。 そんな心の成長が、この秋の勝利につながった。
■守備からリズムを作る野球
県大会では、その後、優勝する日大三島と初戦で対戦した。初回に2失点すると、その後も小刻みに得点を許して、1対10(7回コールド)で敗れた。主将の松下舜平(2年=捕手)が振り返る。「中部大会はチーム全員で協力して勝つことができましたが、日大三島戦は自分たちから崩れてしまってやりたい野球ができませんでした」。
チームは新たに「雲外蒼天」という四字熟語を胸に、秋から冬の練習に励む。現部員はコロナ禍の中、入学してから思う存分に練習ができていない。だからこそ近藤監督は「その先に青空が待っている。そのために一生懸命にやろう」と選手に語りかける。
日々の練習は4か所でのノックから始まる。「守りでリズムを作り、攻撃に繋げるのが僕たちのスタイル」と話す松下。近藤監督や、夏で引退した3年生がノッカーを務め、多くの打球を受けることで、体に染み込ませていく。
また、近藤監督は「とにかく体の軸を作っていきたい」と、この冬はウエイトトレーニングと食事面にも力を注ぐ方針だ。
■さらなる旋風を!
来春、もう一度県の舞台に戻るために―。松下が力強く宣言する。「春も絶対に県大会に出たいです。そのために、この冬にもう一段階、いや二段階レベルアップしていきます」
選手16人と少ないが、メンバーのほとんどが学童時代からの顔見知り。「チームワークの良さはどこにも負けない」というナインは青空の下、グラウンドを元気いっぱいに駆け巡る。