【横浜商 野球部】「涙の再開ミーティング」

Y校史上最強チーム、神奈川独自大会のテッペンへ

横浜商の夏はこれから始まる。

プロ注目・笹川吉康擁するY校史上最強チームは神奈川独自大会のテッペンへ駆け上がる。

2020年8月号掲載
(取材・伊藤寿学)

■ 甲子園への道を信じて

甲子園への道を信じて、精一杯、できることをやってきた。

休校期間中は、小嶋一紀監督の指導のもとコーチ・トレーナーがチームLINEでフィジカルメニューの動画を送り、選手はそのメニューをこなした。

選手は日々の野球ノートをLINEで監督に送った。

メディカルトレーナーはウェブ会議システムZOOMで選手ミーティングを開いて、心身のケアを行った。

選手たちは、それぞれがメッセージをLINEにアップしていく「動画リレー」でモチベーションを高め合った。

みんなが「Y校のプライド」と「甲子園への希望」を持ち、再開を待った。しかし、5月中旬に甲子園大会中止が決定した。

今年のチームは、1月5日に三浦海岸で初練習を行い、始動したという。

小嶋監督は「三浦海岸での気合の入った選手たちの顔が思い浮かぶ。(甲子園大会中止で)すぐに前を向けとは言えない。ゆっくりと受け止めて、次の一歩を踏み出してほしい」と選手たちにメッセージを送った。

■ ミーティングで気持ちを一つに

学校が再開になって1週間後の6月7日、3年生ミーティングが行われた。

小嶋監督は、選手一人ひとりに今の気持ちを率直に打ち明けることを求めた。

小嶋監督は「甲子園大会中止が決まったときは自宅待機中。選手たちは、悔しさを心に抑え込むことしかできなかった。みんなで話し合う場が必要だと思いました」とミーティングを振り返る。

「どうしてこんなことになったのか」「悔しいです」「甲子園にチャレンジしたかった」…。

選手たちは、心に閉じ込めていた気持ちを思い切り吐き出したという。

マネージャー金田美咲さん(3年)の順番になると、教室が静まり返った。

選手たちの陰の努力を見てきた金田さんは、感情を抑えきれなかった。

「みんなに会えた嬉しさや、甲子園大会がなくなってしまった悲しさなど、いろんな気持ちが浮かんできて言葉になりませんでした」(金田さん)。

その様子をみた選手たちは、一斉に声を詰まらせて泣いた。

選手たちはみんな心に悲しみをしまいこんでいた。

仲間とともに思い切り泣くことで、気持ちが晴れたという。

涙の再開ミーティングとなった。

■ Y校史上最強、超大型チーム

Y校は、神奈川独自大会での優勝を狙えるだけの戦力が揃っている。

チームの核は、身長193センチの投打の二刀流・笹川吉康(3年=投手・外野手)。

マウンドではサウスポーから威力あるボールを投げ込み、打席では広角にいかつい打球を飛ばす。

走力も備えたアスリートで今秋のドラフト候補。

7月上旬時点でプロ10球団とMLB関係者が視察、周囲は慌ただしくなってきた。

打線は、リードオフマン熊倉健太(3年=外野手)、クリーンアップの笹川、市村怜也(3年=内野手)、2年生スラッガー畠山翔(2年=内野手)が軸。

投手陣は、山口塁(2年)、奥村光寿(2年)が力を伸ばす。

投打のタレントが集結する今季のY校は私学強豪に個人力で引けを取らない大型チームで、ダイナミックな戦いが期待される。

1990年夏、1997年春以来の甲子園が狙えるチームだったのは間違いない。

甲子園大会は消えたが、Y校魂は選手の心に焼きつく。

活気ある練習を繰り返すチームをまとめる及川博樹主将(3年=内野手)は「僕らの夏はこれから。

神奈川でテッペンを取ってやろうって、選手全員で気持ちを一つにしました」と独自大会へ照準を合わせる。

ノープレッシャーで挑む今年の夏。

Y校の選手たちは、グラウンドで輝きを放つはずだ。

横浜商業高等学校

【学校紹介】
住 所:神奈川県横浜市南区南太田2-30-1
創 立:1881年
甲子園:16回(春9回・夏7回)
「Y校」の愛称で知られる高校野球界の名門伝統校。1983年は春夏連続で甲子園準優勝。2014年にスポーツマネジメント科開設。主な野球部OBに元巨人・山口鉄也投手ら。

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