「あの夏を超えろ！」
春ベスト４は夏への序章 王者・東海大相模に３発応戦も惜敗
日大藤沢が春季高校野球神奈川県大会で準決勝へ進出。選抜全国制覇・東海大相模に敗れたが、確かな足跡を残して大会を去った。この結果は、夏飛躍への序章となるだろう。
■４番・柳澤大空衝撃２発
準決勝・東海大相模戦では結果的に５対14というスコアになったが、ゲームは拮抗していた。日大藤沢の先発は、背番号10の服部宏介。チームは、選抜全国制覇の東海大相模相手に小細工せずに真っ向勝負。服部は140キロ弱の威力あるストレートを投げ込みゲームを作っていく。４回までに６点を奪われたが、決して慌てることはなかった。反撃の狼煙は、４回の主砲の一撃だった。プロ注目のアスリート系４番・柳澤大空が低めのボールをすくい上げてレフトスタンドへ運ぶ。ソロアーチは柳澤の才能を示すのに十分なバッテイングだった。
■１プレーが流れを変えた
主砲の一撃で勇気を得た日大藤沢は、先発・服部が５、６回を無失点で切り抜けて流れを引き寄せていく。６回裏、２死から３番・提坂朋和が右中間へ運ぶ２ランを放つと、続く４番・柳澤が２打席連続となるソロ本塁打。日大藤沢がクーリンアップのホームラン攻勢で、王者・東海大相模に食らいついていく。４対６。流れを考えれば何が起きてもおかしくなかった。しかし、不運にも一つのプレーが、ゲームを変えてしまった。７回から登板した背番号１の清水虎太朗が２死から２・３塁のピンチを迎えたが、続く打者をセンターフライに打ち取った…はずだった。中堅手・提坂が捕球して送球モーションに入ったところでボールがグラブから落ちた。微妙なプレーだったが判定が「落球」とされて、この回に３点を失った。
■高いチームポテンシャル
１プレーによって流れを失ったチームは終盤に失点を重ねて５対14で敗れた。山本秀明監督は「捕球についてははっきりと見ていないのでコメントできないが、隙があったということ。チームとして我慢強い戦いができていたが、まだ力が足りなかった」と振り返った。チームは、提坂、柳澤の主軸に加えて、１年生ルーキーの遊撃手・田上優弥、１年生捕手・杉山大和も公式戦デビュー。服部、清水虎の両投手も力があり、夏に向けてのチームポテンシャルは高い。日大藤沢は2019年夏に決勝へ進出したが、今年のチームはあの夏を超える力を持っている。
